ラマーズ法とは、フランスの産科医であるラマーズ氏が、陣痛を和らげるために提唱した「呼吸法」のことを言います。
あなたも一度は聞いたことがある「ヒッヒッフー」という、お産のときの呼吸の仕方です。
今回は、そんなラマーズ法分娩の効果や、練習方法についてご紹介します。
1.ラマーズ法のやり方

ラマーズ法は、陣痛の強さや子宮の開き具合によって呼吸法を変えていきます。
(1)陣痛が始まってすぐの時(子宮口3センチ位まで)
陣痛がはじまったかなと感じたら、以下の手順でラマーズ法をしてみましょう。
- 鼻から息を吸い、胸やお腹をふくらませるように意識する(肺の隅々まで空気を送り込むイメージ)
- 吸った息はローソクを消すように、口から長く吐き出していく
ここでのポイントは、息を吐くことにどれくらい集中できるか、という点です。
(2)陣痛が5分間隔になった時(子宮口4センチ〜7センチ位まで)
5分間隔になってくると、陣痛がだんだん強くなってきます。
痛みは5分間隔なのであまり休んでいる時間はありませんが、休めるときは無になることです。
- 鼻から「ヒッ!」と息を吸い「フーーッ」と息を吐く
- 吐ききったあとは脱力する
ここでのラマーズ法のポイントは、吐く息に集中し、吐いたあとは全身脱力しよう、とする点です。
(3)陣痛が2分間隔になった時(子宮口が8センチ〜9センチ位まで)
陣痛が2分間隔になってくると、さらに痛みは強まり、休んでいる暇はほとんどありません。
しかし、痛みがないときは必ずあります。その時に以下の手順を実践しましょう。
- 鼻から「ヒッヒッ」と短く息を吸い「フーーッ」と息を吐く
- 激しくきばりたい感覚が襲ってきたら「ウン」と声に出して、いきみ逃しに努める
ここでのラマーズ法のポイントは、いきみたくてもいきまない、という点です。
(4)子宮が全部開いたときから誕生まで
子宮が全部開くと、「お尻から何かでそう」になり、いきみは我慢できない状況です。
もう我慢しなくて大丈夫なので、しっかり目を開き、出産に取り組みます。
- 陣痛の波に合わせて「吸ってー吐いて、吸ってー吐いて」と深呼吸を2回繰り返す
- 3回目は「吸ってー」そのまま息を止め、お尻に向かってきばる
- 痛みがおさまれば全身脱力する
上記の深呼吸からきばりまでの動作を、繰り返し行います。
出産時のラマーズ法のポイント
ここでのラマーズ法のポイントは、
- きばるときは息を漏らさない
- きばるときはできるだけ長く
以上のことがポイントになります。
赤ちゃんの頭が出てきたら
最後、赤ちゃんの頭がでたら、「きばるのをやめて下さい」と言われます。
そのときは「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」と息をはき続けます。ツルっと、赤ちゃんが生まれてきます。
2.ラマーズ法の効果

ラマーズ法を取り入れることで、どんな効果があるのか、以下で詳しくご説明します。
理解した上で取り組むと、さらなる効果が期待できます。
(1)パニックにならず痛みに向き合える
陣痛の波をしっかりラマーズ呼吸法で乗り越えられれば、パニック知らずで痛みに向かっていけます。
どんどん強くなる痛みに「これ以上痛くなったらどうしよう」と不安が膨らみ続けます。
ひどくなると、陣痛がきていてもきていなくても「痛い」と感じてしまい、パニックに陥ってしまいます。
そうならないために「痛い」と感じたら「息を吐く」ことに意識をもっていくのです。

助産師ポイント
どんなにイメージトレーニングしていても、本番上手くいかないことは起こります。誰のせいでもなく、お産とはそういうものです。
大事なのは、どんなときも慌てず落ち着くことです。
(2)旦那さんが「一緒にお産した」感覚を味わいやすい
なかなか一緒にお産したという気持ちを分かち合うのが難しい男性ですが、ラマーズ法に取り組むことで、奥さんと一緒に「お産した!」感覚を味わいやすくなります。
医療者や家族が呼吸を誘導する
ラマーズ呼吸法は、妊婦さんの呼吸に合わせて、医療者や家族が呼吸を誘導していきます。
それにより、妊婦さん自身が「今はこんな時期だから、この呼吸パターンで」と落ち着いて判断していけるのです。
旦那さんが立会いする場合、誘導の役割を旦那さんも一緒に担うため、お産の感覚を共有することができます。
(3)赤ちゃんへのストレスが少なくなる
子宮の出口が全部開くまでは、陣痛が強くなっても、耐えられるまでなるべく我慢し、いきまないことが大切です。
いきみを逃すために大事なのが「呼吸法」、つまり「ラマーズ法」ということです。
しっかり呼吸に集中し、子宮口が全開するまで待つことが、赤ちゃんへのストレスが少なくなるという効果へつながります。
全開前にいきんでしまうとどうなるの?
子宮の出口が10センチ開いて「子宮口全開」といいます。全開までは、いきみを逃して頑張ります。
では、全開前にいきんでしまうと、どうなるのでしょうか。
息をとめていきむと酸素が赤ちゃんに届かなくなり、結果赤ちゃんにストレスがかかりすぎてしまいます。
3.ラマーズ法分娩の練習方法

ラマーズ法を習得するには、鼻から息を吸い込む練習、口から吐く練習、深呼吸の練習が必要です。
はじめに紹介した、4パターンのどの時期の呼吸にも共通して必要になる練習です。
- 「ヒッ!」と瞬時に鼻から息を吸い込むこと
- 「フーー」と長く息を吐き出すこと
上記の「ヒッ」「フーー」を繰り返し、身体に染み込ませます。
理想は、痛みがきた瞬間「痛っ!」と思う前に「ヒッ!」と息を吸えるようになることです。
深呼吸の練習は旦那さんと一緒にするのがおすすめ
深呼吸の練習は、旦那さんに誘導してもらいやってみます。
痛みがきたら、「鼻から吸ってー口から吐いてー(1回目)、鼻から吸ってー口から吐いてー(2回目)、鼻から吸ってーそのまま息を止めてきばる」と声かけるのが、旦那さんの役割です。
ラマーズ法を指導してもらうには?
ラマーズ法を指導してもらうには、通っている病院やクリニックで「ラマーズ法」を教えてもらえる教室はあるか確認してみて下さい。
病院によってはラマーズ法だけにこだわらず、ソフロロジーなどの教室と合わせて呼吸法を指導している施設もあります。
どんな教室でも、お産について学ぶ場であれば呼吸法について紹介するはずです。
まとめ
お産のときは、どんなに練習していても、パニックになったり思い通りに分娩が進まなかったりします。
今は、そんなときを想像して急に不安になったり、気分が落ちたりすることもあるはずです。
そんなときは、ゆっくり深呼吸して、自分の呼吸を感じて下さい。それからまた、ラマーズ法の「呼吸法」に取り組んでみて下さい。
本番では、旦那さんはもちろん、私たち助産師も一緒にサポートします。頑張って下さい。
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