最帝王切開での出産を経験した妊婦さんが、経膣分娩にチャレンジすることを「VBAC」と呼びます。最近は、有名芸能人が挑戦したことなどから「VBAC」が注目されるようになりました。
しかし、軽い気持ちで「VBAC」に挑戦するのは間違いです。
「次は手術ではなく、普通に産みたい!」と言う想いが沸いてくるのは自然なことですが、本当にVBACを希望するのであれば、この出産方法によって起こりうるリスクも、しっかりと把握しておきましょう。
1.VBACで出産する最大のリスクは「子宮破裂」

VBACで一番の問題となるのが、子宮破裂です。
子宮破裂が起こらないと、あっさり出産。起きると、命が危機的状況に。それが、VBAC出産だと知っておくことが大切です。
子宮破裂について

「子宮破裂」とは、子宮の一部に傷ができ、裂けてしまう状態です。一度、帝王切開の手術を受けていると、子宮に傷ができます。傷のある部分が、ほかの子宮の壁に比べ、薄く、弱くなっています。
帝王切開により薄く、弱くなった子宮の壁が、VBACにチャレンジすることで、時に、破裂してしまうことがあるのです。
お腹の痛みも相当なものになる
一度、子宮破裂を起こすと、現場は戦場です。お腹の痛みも相当で、あっという間に、意識が薄れていきます。出血性ショックで、死亡するリスクもあるのです。
赤ちゃんにも重いリスクがのしかかる
赤ちゃんも、破裂の衝撃で、胎盤が剥がれたり、赤ちゃん自身がとびだしたりして、亡くなってしまう。また、助かっても、脳に障害を残してしまうこともあり得るのです。
2.VBACで出産できる条件とは

次に、VBACで出産できる条件について、説明していきます。条件は以下の通りです。
- 帝王切開の経験は1回のみで横切開している
- 前回の帝王切開の理由が「児頭骨盤不均衡」ではない
- 子宮の手術既往がない
それぞれ詳しく説明していきます。
(1)帝王切開の経験は1回だけ&横切開である
これまでに、帝王切開の経験は1回だけですか。そのときの傷は、横に切っていますか。
気をつけなければいけないのが、傷の切り方です。縦に入っていると、子宮破裂のリスクが高まります。
子宮自体を横切りしていれば、問題ない

ここでのポイントは「見た目にどう切っているか」と言うことではありません。例え、表面の傷が縦でも、子宮自体を横切りしていれば、問題ないのです。
普通、子宮のダメージを少なくするためにも、縦に切ることは、ほとんどありません。前回の帝王切開のとき、医師から特別な説明がなければ、子宮は横切りしたと考えて問題はありません。
(2)前回、帝王切開した理由が児頭骨盤不均衡ではない

前回、帝王切開した理由が児頭骨盤不均衡(赤ちゃんの頭がお母さんの骨盤を通過できない状態)の場合、VBACで出産できる可能性は低くなります。
正確に言うと、同じ赤ちゃんではないので、今回もバランスが合わない、とは言い切れません。しかし、バランスが悪かった場合も、考えおかなくてはならないのです(お母さん自身の骨盤がそもそも狭い可能性があるため)。
(3)帝王切開以外に子宮の手術既往がない
ここでのポイントは、子宮筋腫核出術(筋腫だけをとる手術)などの手術で、子宮にメスを入れた経験がないことです。
他にも、何らかの要因(交通事故など)で、子宮がダメージを受けている場合も要注意です。子宮にメスが入っていると、そこからの傷で、子宮破裂のリスクが高まります。
3.VBACで出産する際の心構え

ここまで読まれたあなたは
- 「VBACに挑戦すると決めたけど、やっぱり怖いかも」
- 「VBACしたかったけど、はじめから帝王切開の方が安心かな」
など、知識が増えるほど、悩みも膨らんでいるかもしれません。
それで大丈夫です!
一つではない選択肢の中から、あなたが納得した方法を選んで下さい。
自然分娩にこだわりすぎない
VBACで出産する際の心構えとして、自然分娩にこだわりすぎるのはやめましょう。
お産を迎えるまでに、主治医や家族と十分相談し、VBACでの出産に臨んでいても、緊急事態は突然やってきます。子宮破裂は、未然に防ぐことが難しいからです。
そんなとき、手術を拒否したり、自然分娩にこだわったりしていると、お母さんの命だけでなく、赤ちゃんの命も大きく左右してしまいます。

助産師ポイント
VBACでの出産になってもいつでも帝王切開を受け入れる心の準備は必要だと言うことです。
まとめ
一番大事なことは、出産方法ではありません。
出産について絶対、譲ってはいけないことは「お産が終わったとき、お母さんと赤ちゃん、2人が元気である!」ただ、これだけです。そのことを重々承知した上で、自分にとって悔いのない選択をするよにしてくださいね。
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