立ち会い出産の「流れ」は?助産師がよく聞かれる4つの質問について

立ち会い出産の流れとメリットデメリットについて

「立会い出産」とは、出産するときに夫や実母、自分の兄弟や子どもが付き添うことを言い、最近では半分以上の妊婦さんが経験しています。

立会出産で1番多いのは、赤ちゃんの父親にあたる旦那さんやパートナーですが、中には友だちやママ友などに付き添ってもらう妊婦さんや、旦那さんの母親と実の母親、2人に付き添われていた妊婦さんもいます。

今回は、立会い出産をしようかと迷っている妊婦さんに向けて出産当日の流れや、よく聞かれる質問についてご紹介していきます。

1.立ち会い出産のメリットについて

立ち会い出産のメリット

まず、立ち会い出産を選択するメリットとしては、「孤独を感じる時間が減る」「家族の絆が深まる」「不安が減りリラックス出来る」等があります。

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

(1)孤独を感じる時間が減る

お産は、長時間に渡って痛みに向き合わなくてはならず、普段は冷静な人でもパニックになったり、孤独に耐えられなくなったりしますが、立会出産の場合は痛みや不安をぶつけたり、話し相手になったりしてくれる家族や旦那さんが側にいるため孤独を感じる時間が減るでしょう。

妊婦さん自身が、信頼できる家族や旦那さんに側にいてもらうだけで十分なのです。

(2)家族の絆が深まる

家族や旦那さんが立ち会うことで「みんなで一緒に取り組めた」という達成感を味わうことができ、さらに家族の絆が深まります。

家族みんなで乗り越えられたという自信は、これから始まる育児にも自信を持って取り組むことができ、何かあったときに自分だけで悩まず、家族や旦那さんに相談できるという心強さも感じられます。

(3)不安が減りリラックスできる

初めてのお産の場合は、あらかじめどんなにしっかり勉強して準備をしていたとしても不安があるのは当然です。

しかし、不安な気持ちは緊張感を高め気づかない間に不必要な力が入り、お産も進みにくくなってしまいますが、家族や旦那さんの立ち会いにより、安心することでカラダも自然とリラックスできるでしょう。

看護師からのポイント

看護師ポイント

出産するにあたり何か心配や不安がある場合、その都度助産師に聞くことが望ましいですが、どんな病院を選んだとしても常にスタッフの誰かが側にいることは不可能に近いため、そ

 

 

2.「普通分娩」の場合の立ち会い出産当日の流れ

普通分娩の立ち会い出産

初めてのお産の場合は、陣痛が始まっても直ぐにお産になることはほとんどありません。

稀に経産婦さんのようなスピードで進む方もいますが出血や痛みなど何らかの徴候があるため、気になるときは病室に相談をしましょう。

それでは、普通分娩の場合の立ち会い出産当日の流れについてご紹介していきます。

(1)陣痛がきて分娩室にいくまで

普通分娩の場合は、陣痛が来てから分娩室へ行くまでの間、立ち会う予定の旦那さんや家族には陣痛が5分くらいになるまで騒ぎたてず、妊婦さんが休息できる静かな環境を整えてもらいます。

大事なのはまず、周りに落ち着いてもらうことであるため、立ち会う前に一通りお産の流れを知っておいてもらうことが必要です。

お産が進むのを待つ

妊婦さんに陣痛が来て分娩室に行くまでの間、旦那さんや家族は一緒に病室に居てお産が進むのを待つことになりますが、病院によっては夜中の付き添いは1人だけと決まっている場合もあります。

産まれる瞬間に立会うのも「立会い」ですが、陣痛に頑張る間に付き添うことも含めて「立会い」です。

水を飲ませたりゼリーを食べさせたりしてもらう

陣痛が痛くない時つまり叫んでいない時に、家族に水を飲ませたりゼリーを食べさせたりしてもらいましょう。

お産は体力勝負であり、ほんのひと時でも力が抜けてリラックスができれば、旦那さんや家族が側にいる意味があるため、絶えず痛くて休めていない場合は痛みがなくなってから背中をさすり、一緒に息を吐いてもらいましょう。

何より大事なのは、一緒にその場にいてもらうことです。

(2)分娩室に入って出産を終えるまで

陣痛が5分を切り出してきたら、いきみたい感覚がでてきて陣痛は3分おきにやってくるため、そのくらいになれば妊婦さんは分娩室に移動します。

準備が出来次第、旦那さんや家族も一緒に分娩室に入ることができるため、立ち会う家族には陣痛に合わせて腰やお尻を押してもらい、どんなふうに押すのか分からない場合は、助産師に聞くと分かりやすく教えてくれるでしょう。

妊婦さんが分娩台に乗ってから立ち会う家族は、頭の近くに立ってもらい、タイミングよく水を飲ませてもらったり、うちわで仰いでもらったり、汗を拭いてもらったりしてもらうと良いでしょう。

赤ちゃんがでてくる直前には「下から見てみますか?」と、立ち会いの家族に助産師が尋ねる場合もあり、私の経験では、実母が立ち会いしている場合に「下から赤ちゃんを見てみたい」と、答える人がよくいます。実母が赤ちゃんの頭を確認すると、すごく感激して「見えているから頑張って」等と声かけをしてくれる事が多く、さらに頑張ることができるでしょう。

(3)出産直後から病室に戻るまで

赤ちゃんが産まれ胎盤が出た後、お産後の傷を縫ったり分娩室を片付けたりするため、一旦付き添い家族には分娩室から外に出てもらい少し待機することになります。

傷が小さいと10分くらいで終わりますが、傷が大きい場合などは1時間近くかかることもあります。

立ち会った家族と母親、赤ちゃんと一緒に過ごす

準備が整った後は、旦那さんや家族は中に入り、お産を終えた母親と赤ちゃんと一緒に約2時間過ごすことができます。

その間にも出血の確認や、赤ちゃんの状況を確認するためにスタッフが入ってきますが、その都度、分娩室の外に出ることが促される場合が多いです。

2時間経てば、お産を終えた母親は病室に戻りますが、家族や旦那さんは先に部屋に戻るように説明されたり、夜間であれば帰宅するよう促されたりします。

3.「帝王切開」の場合の立ち会い出産当日の流れ

帝王切開の立ち会い分娩

帝王切開は、日にちが決まっている「予定帝王切開」と緊急事態に対応する「緊急帝王切開」があり、緊急帝王切開の場合は立ち会いが難しいです。

また、病院によっては帝王切開の場合も立ち会いが困難という場合もよくあるため、事前の確認が大切です。

ここでは、予定帝王切開の立ち会いについて紹介します。

(1)手術室に入り下半身に麻酔をかける

帝王切開の場合は、始めに妊婦さんだけが手術場に入り下半身のみ麻酔をかけるため、妊婦さんは意識もあり声を出すこともできます。

旦那さんは、手術の準備が整った時点で案内されるのが一般的ですが、病院によっては始めから一緒に入れる場合もあるようです。

(2)手術室で赤ちゃんが出てくるのを待つ

手術室で旦那さんは妊婦さんの頭側に立ち、赤ちゃんがでてくるのを待ちますが、その間は10分前後で始まるとあっという間に産まれてきます。

赤ちゃんが生まれてくる瞬間を撮影できる場合もあるため、立ち会い出産をすれば帝王切開でも、産まれた瞬間に夫婦で喜び合うことができるでしょう。

(3)赤ちゃんが元気か診る

お産の後、赤ちゃんは暖かい場所に移り「呼吸が安定しているか」「元気か」等を診ている間、旦那さんは赤ちゃんの様子を遠目から見ることができます。

そして、赤ちゃんが新生児室へ移るときには、旦那さんも退室することがほとんどですが、母親はまだお腹の傷を閉じている最中です。

旦那さんは、手術場に入るからといって傷や血液を見ることはほとんどありません。

4.助産師が見た立ち会い出産の忘れられないエピソード

助産師

ここでは、私が助産師として立ち会い出産で見た、忘れられないエピソードを紹介しています。

(1)赤ちゃんよりもケアが必要になった旦那さん

出産時、Mさんが喜ぶ前に旦那さんが号泣しながら喜びを爆発させたため、私たちスタッフも赤ちゃんやMさんをケアする前に「旦那さんを誰か拭いてあげないと」となる程、大池になっていました。

旦那さんが感動して、ママが泣くタイミングがなかったという話はよく聞きますが、拭いてあげなければいけないほどの涙には、なかなかお目にかかれません。

(2)呪文を唱えながら喫煙を我慢していた旦那さん

Oさんの旦那さんは、とても優しく頼りがいのあるタイプでしたが、唯一辞められないこととして喫煙習慣があり、禁煙は頑張っても3時間が限界だったため、出産間近に離れてしまわないかとOさんは心配していました。

案の定、Oさんの旦那さんは、痛みに耐えるOさんを励ましながらソワソワしており「大丈夫ですか?」と聞くと「我慢、我慢」と呪文のように唱え、しばらくは落ち着かない様子でしたが、最後は6時間我慢できていました。

Oさんは、赤ちゃんを見て感動したのと同時に我慢できた旦那さんを見てとても嬉しそうで、その姿がとても印象に残りました。

聞くところによると、その後、半日くらい我慢できるようになったとのことでした。

5.立ち合い出産に関するQ&A

妊婦

最後に、立ち会い出産について私がよく聞かれる質問をまとめています。

Q立ち会い出産の費用はどれくらい?

助産師Jun
A.立会い出産するために、特別な費用がいる病院はほぼないと言えます。

ただし、必要経費として分娩室に入るときに着るガウンやエプロンなど、数千円負担がある施設もあります。

また、立ち会い出産は、妊娠中に両親教室などを受講しないとできないという場合もあり、教室費用として数千円負担がある場合もありますが、この場合はお茶やお菓子が用意されていることが多いです。

Q立ち会い出産は子供もできる?

助産師Jun
A.「立会い出産できるのは中学生以上から」と決まっている施設もあれば、「母親が良ければ誰でも可能」等というところもあり、施設によってそれぞれです。

私の経験では、小学高学年くらいなら最後まで立会えますが、それより小さな子どもは普段と違う母親が怖く、雰囲気事態が怖いこともあり、途中で退室してしまうという印象です。

「子どもに、お産を見せたい!」という、母親は意外と多いですが、怖がる子どもを無理に立ち会わせると、トラウマになるリスクもあります。

また、旦那さんが子どもと一緒に立会うとしていた場合、子どもが泣いて退室すると、旦那さんも立ち会いできなくなることもあるため、そのような場合に備えて、子どものお世話ができる祖母なども一緒に来てもらうと安心でしょう。

Q立ち会い出産させてもらえる家族は何人まで?

助産師Jun
A.年齢同様、施設ごとに決まりがありますが、2人までというのが一般的です。

何人でも良いと言われると、旦那さん・自身の母親・姉・妹と4人くらいで立ち会う家族もおり、お互いに気を遣わない関係であれば問題ありませんが、上記の場合、居心地が1番微妙になるのは旦那さんでしょう。

旦那さんが気を遣わない、ということも誰に立ち会ってもらうか決める上で重要なことです。

産まれくるのは、あなたと旦那さんの赤ちゃんであるため、2人が気を遣わないことを優先して、誰に立ち会ってもらうか決めることをお勧めします。

Q立ち会い出産では家族がへその緒を切れるの?

助産師Jun
A.バースプランがある病院では「出産直前から退院までどんなふうに過ごしたいか?分娩時に何をしたいか?」等、助産師外来などで話し合う機会があります。

その機会に「立会い出産を希望したい、そのとき家族にへその緒を切ってほしい」等、やりたいことを伝えるとスムーズでしょう。

へその緒は、旦那さんでなくても赤ちゃんの兄弟にあたる子どもでも希望すれば切らせてもらえる施設もあり、その場合は一旦、医療者が切り母親から離れたへその緒を切るため、子どもでも安心です。

しかし、赤ちゃんに緊急を要する状況であれば、へその緒を切りたいと希望していても切れない場合があります。

Q立ち会い出産ではビデオカメラを回せる?

助産師Jun
A.出産時のビデオ撮影は、施設によって許可がある・ないが分かれるところです。

許可している施設の中でも、全く制限なく撮影して良いところもあれば、出産真っ只中は撮影禁止など細かく決められている施設もあります。

「ビデオ撮影する!」と張り切って立ち会いしたにもかかわらず撮影ができない場合もあるため、どうしても撮影したい場合は、事前に確認することをお勧めします。

撮影禁止としている理由は、医療者のプライバシー保護という理由もありますが、撮影に必死になって「お産に一緒に取り組む」という本来の立ち会いの目的を忘れてしまうのを予防する意味もあるのです。


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jun

【大阪府/30代/正看護師免許/助産師免許】助産師として働きだし15年以上になりました。読んだ方が、「また明日も頑張ろう」と気持ちを後押しできるような記事が書けるよう、頑張ります。