赤ちゃん(乳児期)の食物アレルギーの症状と原因について

最近よく耳にするようになってきた食物アレルギーですが、実は赤ちゃんにも関係があるのです。まだ私たちのようにたくさんの食べ物を食べられない赤ちゃんに、食物アレルギーの症状があらわれるのはいつぐらいなのでしょうか。

食物アレルギーとは、本来身体にとって害のないものに対して、身体を守る働きのある免疫が過剰に反応してしまうことで、たとえば皮膚や目がかゆくなったり、腹痛や下痢など何らかの症状としてあらわれるものです。

それらのアレルギーのうち、食物を触れたり食べたりすることでおこるものを食物アレルギーと言います。

自分で言葉にして訴えられない赤ちゃんの症状に気付いてあげられるよう、今回は食物アレルギー、症状と原因についてまとめてみます。

この記事を書いた看護師

現役看護師azuki
azukiさん
・東京都/30代前半
・正看護師免許

小児科の経験があります。どんなときも患者さんを思った優しさのあるケアができる看護師になることを目指しています。

1.乳児期に多い食物アレルギーをおこしやすい食材とは

乳児期に多い食物アレルギーをおこしやすい食材

どのような食物にアレルギーがあるのかは個人差がありますが、乳児期に多い食物があります。

プリン、ケーキ
牛乳ヨーグルト、チーズ
小麦パン、パスタ、お菓子

このようにアレルギーの原因となる原料を含む食物にも、アレルギー反応をおこすことがあります。この他にも、そば、フルーツ、ナッツ、魚類、甲殻類などが食物アレルギーの原因として多く見られます。

 

(1)乳やミルクだけの赤ちゃんでも食物アレルギーをおこす?

離乳食がはじまる前の乳児期の赤ちゃんは、ママの母乳やミルクしか口にしていません。母乳やミルクだけのため、安心している方も多いのではないでしょうか。

実は、母親の母乳やミルクだけの赤ちゃんでも食物アレルギーをおこすことはあります

特に母乳の赤ちゃんの場合、母親が食べたものが母乳を通して赤ちゃんの口から入ることで症状があらわれることがあります。

看護師からのポイント

看護師ポイント

母親が料理をしたあと食物に触れたところが残っている手で赤ちゃんを触れることでも症状があらわれてしまうことがあるのです。

 

一般的には生後6ヶ月以降に初めて食物アレルギーの症状が多い

離乳食がはじまっても、すぐに何でも食べられるわけではありません。少しずつ身体の成長に合わせて食べられる食物が増えていきます。そのため、生後6ヶ月以降に初めて食物アレルギーの症状があらわれる赤ちゃんが多いのです。

 

(2)赤ちゃんのアレルギー症状があらわれるまでの時間はどれぐらい

食物に限らず、何らかのアレルギー物質が原因でアレルギー症状があらわれるまでの時間はさまざまです。

すぐに症状があらわれるものは即時型のアレルギー症状
1日~数日たってあらわれるもの遅発型や非即時型のアレルギー症状

その中でも食物アレルギーはすぐにアレルギー症状があらわれる即時型といわれています。

食物を摂取してから早くて15~30分ほどでアレルギー症状があらわれ、酷い場合は全身に症状があらわれ命の危険もあります。そのため、食物アレルギーの疑いがある場合は食後の症状に注意が必要です。

 

2.赤ちゃんの主な食物アレルギーの症状について

赤ちゃんの主な食物アレルギーの症状

食物アレルギーと言っても、口の中がイガイガするということ以外は目立った症状があらわれないこともあれば、腫れ、かゆみ、痛みなど全身に症状があらわれることもあり、これも個人差があります。

皮膚や粘膜にあらわれる症状・かゆみを伴うじんま疹
・発赤
・口の中や唇の腫れ
・喉がイガイガしたりする症状
呼吸に器にあらわれる症状・ヒューヒュー、ゼーゼーといった呼吸や咳
・くしゃみや鼻水
消化器にあらわれる症状・腹痛
・吐き気
・嘔吐
・下痢

上記のような症状となります。詳しく説明していきます。

 

(1)皮膚や粘膜にあらわれる症状

食物アレルギーの症状で最も多いのが、皮膚、粘膜の症状です。皮膚ではかゆみを伴うじんま疹、発赤など、粘膜では口の中や唇の腫れ、喉がイガイガしたりする症状があらわれることがあります。

 

(2)呼吸に器にあらわれる症状

空気の通り道である気管支の粘膜が腫れることで、空気の通り道が狭くなり笛を吹いたようなヒューヒュー、ゼーゼーといった呼吸や咳が見られることがあります。これはアレルギーに関係のあるぜん息でも同じような呼吸が見られます

また、鼻の粘膜が腫れると、くしゃみや鼻水が出ることがあります。

 

(3)消化器にあらわれる症状

口から食べたものは、胃や腸を通って消化されていきます。そのため、腹痛、吐き気、嘔吐、下痢といった消化器症状があらわれることがあります。

 

3.急を要するアナフィラキシー症状とは?その対処方法

急を要するアナフィラキシー症状とは?その対処方法

急を要する場合の症状は、アナフィラキシー症状が出た場合です。

アナフィラキシーという言葉を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。これは、何らかのアレルギーが原因となり最初の症状があらわれてから、複数の症状があらわれるものです。

たとえば、じんま疹が出た後、腹痛、嘔吐があったという場合はアナフィラキシー症状と考えられます。

 

(1)重篤なアナフィラキシー症状について

アナフィラキシー症状が、全身症状まで広がると以下のような症状がみられます。

顔面蒼白・血管が広がり血圧が下がることが原因
呼吸が苦しそう・気管支の粘膜が腫れることが原因
意識がない・血圧が下がることにより脳に十分な血液が届かないことが原因

このように皮膚や粘膜の症状で治まらず、短時間で重篤な症状に陥るものをアナフィラキシーショックと言います

アナフィラキシーショックは食物アレルギーを持つ人全てにおこるものではなく、一部の人しかおこらないと言われていますが、赤ちゃんは自分で症状を訴えることができないため注意して様子を見ておかなければなりません。

 

(2)赤ちゃんを観察するポイント

じんま疹があらわれて、かゆみのせいでぐずっていたとしても気を紛らわせたら泣き止んだり、ご機嫌に過ごしている場合はそのまま様子を見ながら病院を受診しましょう。

しかし、食後なのに機嫌が悪く、

  • ずっとぐずって泣いていたり
  • 泣くこともなくぐったりしている
  • 変な呼吸をしはじめた場合

などは、すぐに救急車を要請するようにします。

赤ちゃんの場合、痛い、気持ち悪いなどを訴えられない代わりに「泣く」、「泣かない」、「泣けない」ということが訴えになるのです。

 

(3)もしもの時の適切な対応について

もし、赤ちゃんにアナフィラキシーショックのような症状が見られたら、すぐに救急車を呼びます。(早ければ15分~30分ほどで急速に悪化します。)

呼吸が苦しそうなときは、仰向けに寝かせるのではなく身体を起こして座らせてあげて、クッションなどで頭が後ろに傾かないようにしてあげると気管支がまっすぐになり少しでも呼吸がしやすくなります。

看護師からのポイント

看護師ポイント

嘔吐していたり、意識がないようであれば、身体を横向きにして吐いたもので窒息するのを防ぎます。そして、どのような症状がいつおこったのかを記録しておきましょう。これがその後の治療に役に立ちます。

 

4.赤ちゃんの食物アレルギーの検査についての知識

赤ちゃんの食物アレルギーの検査

「アレルギーは免疫が過剰に反応する」と伝えてきましたが、免疫というのは免疫グロブリンと言われる抗体で血液中にあるもののことです。

抗体というのは、身体に侵入してきたものを記憶し、次に同じ異物が侵入してきたときに瞬時に反応して排除しようと活発に働くものです。本来、病気の原因となるウイルスや細菌に対して抗体がつくられます。赤ちゃんが打つ麻疹、風疹などの予防接種もあらかじめ体内に麻疹、風疹の抗体をつくらせておいて病気になるのを防ぐ目的があります。

食物アレルギーの場合、食物を異物だと勘違いして抗体ができてしまうため、その食物を摂取したときにアレルギー症状を引き起こしてしまうのです。

 

(1)食物アレルギー検査は抗体の量を調べること

食物アレルギーの検査というと、まずは血液検査になります。

血液検査で免疫グロブリンのうち特定の食物に対する特異的IgE抗体があるかどうかを調べます。検査の結果が要請の場合は、その食物を除去して様子を見ることになります。

 

(2)アレルギー検査をする適正なタイミングについて

もし、アナフィラキシー症状が出た場合は、今後のためにも早急に検査をすることをお勧めします。しかし、アナフィラキシー症状が出る赤ちゃんは食物アレルギーを持つ赤ちゃんの中でも一部です。そのため、まずは皮膚に見られるじんま疹やそれが原因で掻き壊してしまった皮膚のスキンケアからはじめます。

 

(3)原因食物を知るための皮膚プリックテスト

血液検査のほかにも、アレルギーの原因食物を検査する皮膚プリックテストというものがあります。

これは、血液検査よりも安価であるだけでなく、赤ちゃんにも負担が少ないため初めての検査では皮膚プリックテストが行われることがあります。

看護師からのポイント

看護師ポイント

原因と疑われるアレルギー物質を二の腕など健康な肌に乗せて、専用の針で皮膚に小さな傷をつけます。15分ほど様子を見て、その部位が赤く腫れあがるようであれば使用した試薬がアレルギーの原因だと判断されます。アレルギーの原因だと疑う食物は自宅から持参してもらいます。

 

(4)食物経口負荷試験

食物アレルギーの検査として、食物経口負荷試験というものもあります。これは、ダイレクトにアレルギーの原因と考えられる食物を摂取して症状が出るかどうかを判断するものです。血液検査や皮膚プリックテストよりも、原因食物を断定しやすい特徴がありますが、実際に摂取するためリスクも大きくなります。

また、この食物経口負荷試験はアレルギーで食べられないものを減らすためにも役立つ検査なのです。

 

塗り薬、飲み薬に加え、清潔にすることから始める

塗り薬、飲み薬に加え、清潔にするようにして様子を見ていきます。スキンケアで症状が治まっていくようであれば、そのまま様子を見ることもありますが、なかなか改善しない、悪化してくるという場合に血液検査をする場合が多いです。

看護師からのポイント
看護師ポイント

赤ちゃんの場合、大人のように血管が見えにくく採血をするのは赤ちゃんにとって負担が大きいです。そのため、小児科や皮膚科の医師は検査の必要性をしっかり見極めます。

 

5.赤ちゃんの食物アレルギーは治すことができるの?

赤ちゃんの食物アレルギーは治すことができるの

食べるものが制限され、身体にも症状が出てしまう赤ちゃんを見ていると、この先のことが心配になりますよね。しかし、乳児期の食物アレルギーは成長とともに改善することが多いのです。

母親のおなかの中は無菌の状態です。そして、ママの胎盤をとおして一部の免疫を受け取りますが、生まれてからはママからもらった免疫は徐々に減っていきます。そのため、母乳や予防接種などの力も借りながら自分で免疫をつくっていかなくてはなりません。

もちろん食物を異物と認識して戦おうとする抗体の生成も盛んなのです。

 

(1)成長とともにアレルギーが改善する理由

食べたものは胃や腸を通りながら消化、吸収されていきます。しかし、赤ちゃんはまだその機能が未熟なのです。

私たちは、免疫が反応するような物質を吸収しないよう、胃や腸の粘膜でバリアしています。また、食べ物が免疫に反応しないよう食べ物の組織を分解していきます。そのどちらとも未熟な赤ちゃんは、免疫に反応しないよう分解できないまま、バリアされることなく体内に入れてしまうのです。

しかし、消化機能は母乳やミルクしか飲めなかった赤ちゃんが食物を摂れるようになったように、成長とともに発達していきます。そのため、しっかり分解しバリアできる年齢になると食物アレルギーが治ることが多いのです。

 

(2)食物経口負荷試験で食物アレルギーも把握しておこう

先ほど説明した食物経口負荷試験は、アレルギーの原因である食物を極少量から摂取し、症状の有無を観察していくものです。

例えば、検査でゆで卵の黄身の半量まで症状なく摂取できたが、3/4摂取したところで皮膚症状があらわれたとします。すると、今まで卵黄を使用する食材はすべて除去していたのが、半量までは摂取できるため、赤ちゃんが食べられる食品も増えるのです。

 

6.まとめ

何度もお伝えしていますが、赤ちゃんは食物アレルギーの症状が出ても言葉で訴えられません。だからこそ、ママが赤ちゃんの異変に気付き、またその異変が何なのかを判断し、適切な対応をしなければなりません。

私自身も食物アレルギーを抱えていました。私の場合、乳児期、幼児期にアレルギーの原因となった食物は成長と共にすべて克服しましたが、大人になってアレルギーが発覚したも食物があります。しかし、血液検査や食物経口負荷試験をして自分が食べられない物、食べられる量を知ることで安心して生活することができます。

母親と赤ちゃんが食物アレルギーとうまく付き合っていけるよう、しっかり医師と相談していきましょう。

 


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