黒目が大きく天使のような赤ちゃんですが、よく見ると大きな目のまわりに目やにが溜まっていることがあります。
酷いときには、目が開けにくいほど溜まってしまうこともあります。
しかし、必ずしも何かの病気というわけではないのです。
そこで今回は、赤ちゃんの目やにがたくさん出てしまう原因や受診の目安、目やにを取るコツなどについてご紹介します。
1.赤ちゃんは目やにが出やすい理由は?

そもそも、赤ちゃんは私たち大人に比べて目やにが出やすくなっています。その理由を以下でご説明します。
(1)赤ちゃんは睡眠時間が長いため
赤ちゃんは私たちに比べてずいぶんと睡眠時間が長く、この睡眠時間の長さこそ目やにが多い理由なのです。
赤ちゃんがずっと寝ているということは珍しいことではありません。
新生児では、授乳のとき以外はずっと寝ているということもありますが、これは成長のために必要な睡眠です。
眠っている間は分泌物が循環しない
私たちは、瞬きをすることで古くなった角質やほこりを涙や分泌物で洗い流し、汚れた涙や分泌物は鼻を通って排出させています。
しかし、眠っている間は涙や分泌物が循環せずに溜まってしまい、常に目を閉じているため瞬きによって角質や汚れもまとめられません。
その結果、赤ちゃんの目頭や目尻に目やにとして溜まってしまうのです。
(2)赤ちゃんは極端に瞬きの回数が少ないため
先にも述べたように、瞬きが目やにの排出を促しています。
しかし、赤ちゃんは瞬きの回数が極端に少ないため、起きているときでも目やにがでやすいのです。
赤ちゃんは瞬きをする必要がない
赤ちゃんは視力がまだ発達しておらず、物が見えにくいと感じることはありません。
むしろ、ぼやけて見える中でピントを合わせるためには瞬きをせずに凝視する方が効率がいいのです。
よく赤ちゃんが授乳中に瞬きもせずにじっとママの顔を見つめているのは、ママの顔を認識しようとしている証拠なのです。
2.目やにが多くて受診した方がいい場合

では、ママが一番気になる「受診した方がいい目やにの多さ」とはいったどういった場合なのでしょうか。
(1)粘り気があり、色がついている目やにの場合
赤ちゃんが何らかの病原体に感染してしまっている場合は、その病原体と闘った白血球の死骸が目やにとなって色がついていたり、粘り気のある目やにが出たりすることがあるため受診が必要です。
感染性結膜炎の可能性がある
上記のような目やにの場合は、結膜炎などの炎症をおこしている可能性があります。
結膜炎の原因は、身の回りに普通にある細菌や季節ごとに流行するウイルスなどさまざまです。原因により、目やに以外にも
- 目の充血
- 涙が多く出る
- まぶたの腫れ
などの症状があらわれることもあります。
(2)普段よりも目やにの量が多い場合
特に色や粘り気はなくても、普段よりも目やにが多く、赤ちゃんが目を開けにくそうという場合はアレルギーをおこしている可能性があるため受診が必要です。
この場合、他にも目の腫れや涙が出やすいなどの目の症状が見られることもあります。
アレルギー性結膜炎の可能性がある
感染症として結膜炎をご紹介しましたが、花粉やハウスダストなどのアレルギーによっても結膜炎をおこすこともあります。

看護師ポイント
そもそも、赤ちゃんの場合は何らかの物質にアレルギーがあるという可能性は稀ですが、もしアレルギー反応をおこしているとすると、他にもアレルギー症状が現れる可能性があるため、全身を観察して心配であれば受診するようにしましょう。
(3)常に涙を流しており目やにが多い場合
赤ちゃんが常に涙を流している場合も受診が必要です。
鼻涙管閉塞症による涙のう炎の可能性がある
上記のような症状が見られた場合、先天的に鼻涙管が閉塞している鼻涙管閉塞症である可能性があります。
鼻涙管が閉塞していることで、途中にある涙のうという部分に細菌が溜まって炎症をおこしてしまうことがあるのです。
鼻涙管は成長と共に自然に開通することが多いですが、もし開通しなかった場合には手術をおこなう場合もあります。
(4)目やにが多く鼻が詰まっている場合
前述したように、何らかの原因があり涙や分泌物の排出先である鼻が詰まっていると目やにが多くなるということもあります。
そのため、目やにが多く鼻が詰まっている赤ちゃんも受診が必要なのです。
風邪などの感染症の可能性がある
軽い風邪であれば、温かくしたり安静にしたりしながら様子を見ている間によくなっていきますが、赤ちゃんの場合免疫力が弱いためなかなか治らなかったり、治療が必要な感染症にかかり重症化してしまったりする恐れもあります。そのため、早めの受診を心がけてください。
まずは小児科を受診しよう
赤ちゃんの場合は、目の症状だけでなく、全身に症状がないのかを観察するためにまずは小児科を受診しましょう。
小児科の医師が目の症状をみて眼科を受診するように言われた場合には眼科を受診します。
そうすることで、目の症状が赤ちゃんの身体に影響を与えていないかということも同時にみてもらうことができます。
3.目やにが多くても心配しなくていい場合

以下のような場合であれば、目やにが多くてもそこまで心配する必要はありません。
(1)目やにの色が白っぽく乾燥している場合
赤ちゃんの正常な目やには特に色がついておらず乾燥しており、このような場合は心配いりません。
特に、寝る間際に泣いていた赤ちゃんの場合は、涙が蒸発して目やにになることもあるため心配する必要はありません。
(2)ほこりっぽい環境にいた場合
ほこりっぽい環境などにいたあとは、いろんなものを瞬きもせずによく見ている赤ちゃんの目にはほこりなどの汚れが付着してしまいます。
汚れが多ければ目やにの量も多くなります。そのため、思い当たる節があり、色がついた目やにが一時的なものであれば様子を見てもよいでしょう。
5.(おまけ)赤ちゃんの目やにをふき取るコツ

どのような目やにであっても、無理やり取ろうとすると赤ちゃんのまぶたや目を傷つけてしまう恐れがあります。
また、目やにを取ろうとしたことが原因で炎症をおこしてしまうこともあります。
そのため、正しく赤ちゃんの目やにをふき取ることが大切です。
(1)目やにをふき取る正しい手順
まずは湿らせた清潔なタオルやガーゼ、めん棒などを用意します。そして、ママの手をせっけんできれいに洗いましょう。
赤ちゃんの目やにをふき取る手順は以下の通りです。
- 目やにが固まっている場合は、湿らせたタオルやガーゼ、めん棒などを使ってふやかす
- 赤ちゃんのおでこを抑えて、頭が動かないよう固定する
- ふやけた目やにを、目じりから目頭に向かって1回拭き取る
- 面を変えてまた目じりから目頭に向かって1回拭き取り、これを目やにがきれいになるまで続ける
(2)目やにをふき取る注意点
上記の赤ちゃんの目やにをふき取る過程で特に注意したいことは、
- 目頭から目じりに向かって拭かない
- 同じ面で拭かない
- 無理やり取らない
以上のことです。その理由を詳しくご説明します。
目頭から拭くと病原体を目に入れてしまう
目やにの原因が感染症であった場合、目やにの中には病原体がたくさんいます。そして、その目やにが一番たまるのは目頭です。
もし、目頭から拭いてしまうと病原体を目じりに向かって目に入れてしまっているようなものです。
同じ面で拭くと病原体を広げてしまう
一度目やにをふき取って、目やにがついている面で再び目を拭けば、目に病原体を塗っているようなものです。
また、どちらか一方の目が感染症をおこしている場合には、同じ面で拭いてしまうと両目とも感染をおこしてしまうため、必ず拭くたびに面を変えるようにします。
無理に取ると傷がつきそこから感染を起こす
眼球や目の周りはとてもやわらかくデリケートなので、固まっている目やにを無理やり取ってしまうと傷つけてしまい、その傷から感染をおこしてしまう恐れがあります。
もし、眼球にやわらかい目やにが入ってしまっても、自然に取れやすい位置に移動してきますので、取れやすい位置に移動してくるまで様子をみましょう。
まとめ
普段から目やにを溜めずに目の周りを清潔にし、目やにの状態を観察しておくようにしましょう。
そうすれば、もし何かしら病気の可能性があってもすぐに異変に気づき、早めに対応することができます。
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