離乳食がはじまるまでの赤ちゃん(乳児)は、母乳や粉ミルクがメインの栄養源になります。ちゃんとおっぱいやミルクを飲ませているのに、同じ時期に生まれた赤ちゃんより小さい、体重の増え方が少ないというのは、多くのママが抱く悩みでもあります。
ここでは、赤ちゃんの体重が増えない原因と対策、あかちゃんの体重に基礎知識などを看護師目線で説明していきます。
1.赤ちゃんの体重に関する5つの基礎知識

赤ちゃんの体重が増えないと心配している母親もいらっしゃると思いますが、まずは赤ちゃん(乳児)の体重に関する基礎知識をご紹介いたします。
(1)赤ちゃんの体重測定ができるのは健診のとき
赤ちゃんの体重は、私たちと違い毎日数十グラムずつ増加しており、一生の中で一番の成長期です。
しかし、退院後は自宅で赤ちゃんの体重を量るのは難しく、抱っこした重みやふっくらしてきた様子で成長を感じるだけの場合が多いです。赤ちゃん用の体重計で体重を量るのは、保健所の職員が自宅に訪問に来たとき、生まれた病院での退院後健診のとき、3~4ヶ月健診のときくらいでしょう。
(2)体重は生後3~4ヶ月までに出生時の約2倍になる
出生時の体重は、およそ2500グラム~4000グラムとされています。生後3~4日頃は、身体から出て行く水分の方がおっぱいやミルクを飲む量よりも多くなるため、一時的に体重が少なくなります。退院する頃には出生時の体重に戻っていきます。
生後約2週間目以降は、1日あたり約25~30グラムずつ体重が増えていき、生後1ヶ月頃には、シワシワでか細かった身体にお肉がつきふっくらとしてきます。そして、生後3~4ヶ月頃の健診時には出生時の約2倍の体重にまで成長します。その頃からは、1日の体重増加量はやや落ち着いてきて緩やかに増えていきます。
(3)生後半年以降の体重増加には個人差が出る
生後6ヶ月頃からは離乳食がはじまります。何の抵抗もなく進められる子もいますが、今までのおっぱいやミルクと違うものが口に入ってくるのが嫌で、なかなか進まない子もいます。
そのため、この頃からは赤ちゃんにより体重増加量は個人差が出てきます。
(4)生後8ヶ月以降は動く量が増加
生後8ヶ月になると、「ずりばい」や「はいはい」、早い子では伝い歩きをはじめ、日に日に動きが活発になっていきます。離乳食も進み食べられるものは増えますが、赤ちゃんはそれ以上にエネルギーを使いながらたくさんの新しい発見をしていきます。
そのため、体重増加量がより緩やかになり、ほとんど変動しなくなる赤ちゃんも珍しくありません。
(5)1歳のお誕生日には体重は出生時の約3倍に
1歳の平均体重は約7キロ弱~11キロほどで、これは出生時の約3倍になります。
生後1ヶ月頃はぷよぷよしていた赤ちゃんも、活動量が増えて筋肉が増えてくるためしっかりとした体つきになってきます。

看護師ポイント
7キロと11キロではずいぶん見た目も違いますが、出生時の体重なども関係しているため、それまでの毎月の体重増加量が順調であれば、それほど気にする必要はありません。
2.赤ちゃんの体重が増えない5つの原因と対策

しっかり時間通りに授乳しているのに、体重が増えないという場合は、以下のようなことが考えられます。
- 体重が増えない=母乳を上手く摂取できていない
という観点に絞って、5つの原因と対策をお伝えします。
原因1:赤ちゃんがおっぱいを上手に吸えていない
赤ちゃんは生まれてすぐから本能的にママのおっぱいを飲む方法を知っています。しかし、赤ちゃんにも個性がありますから、飲むのが苦手という赤ちゃんもいます。

対策について
例えば、早い周期で生まれた赤ちゃんに多いのですが、おっぱいを吸う力が弱い赤ちゃんがいます。成長につれて吸う力がついてくるので、諦めずにおっぱいを吸ってもらいます。最初のうちは、飲みやすいように少し乳首を絞って母乳が出やすい状態にしてからくわえさせたり、不足している分だけ搾乳した母乳をスプーンなどで与えるという方法もあります。
また、おしゃぶりを利用して吸う力をつけていくのもいいでしょう。
原因2:乳首の形が赤ちゃんの口に合わない
ママの乳首の形は人それぞれ違います。そして、赤ちゃんの加えやすい乳首の形もそれぞれ違います。もし赤ちゃんがおっぱいを吸うのをすぐにやめてしまうような場合は、乳首が吸いにくいのかもしれません。

対策について
そのような場合は、乳頭保護具を使用してみると赤ちゃんがおっぱいを吸いやすくなるかもしれません。特に乳首が陥没しているときには、乳頭保護具があると便利です。乳頭保護具にもいろんな種類があるので、赤ちゃんの口に合うものを探してみましょう。
原因3:母親のおっぱいの量(母乳)が少ない
母乳の出やすさには個人差があり、赤ちゃんが十分な量の母乳が出ないというママもいます。
ママと赤ちゃんの関係性は本当に不思議なもので、赤ちゃんがおっぱいを飲めば飲むほどママの身体の中で母乳をつくるためのホルモンが活発になり、赤ちゃんが欲しがるだけの母乳がつくられるのです。

対策について
母乳の出が少ないというママは赤ちゃんが欲しがるときにおっぱいをあげてみましょう。それと同時に定期的に体重を見てもらい、赤ちゃんが必要な量のおっぱいを飲めるようになったら、回数を減らし調整していくようにします。
また、母乳はママの栄養からつくられます。そのため、ママが栄養のある食事をしっかり摂ることも忘れてはいけません。
原因4:おっぱいがおいしくない
実は、母乳にも味がありそれが原因で赤ちゃんがおっぱいを飲まなくなることがあります。母乳はママの栄養からつくられるのですが、母乳の素はママの血液です。
脂っこいものや甘いものを摂りすぎると、血液はドロドロになりおいしくない母乳がつくられてしまいます。

対策について
おいしい母乳のための食事としてぜひお勧めしたいのが、日本の昔ながらの和食料理です。和食料理にはたんぱく質が豊富な食材が多く、1品1品の栄養バランスが抜群なのです。食生活の乱れに心当たりのある方は、和食中心の食事を心がけてみましょう。
原因5:周りが気になってしまう
赤ちゃんにとって、周りで聞こえる音、見える物など全てがはじめてのものばかりです。そのため、授乳中に周りが気になって集中して飲めないという赤ちゃんもいます。
また、しっかり飲まずに遊びながら少しずつ飲むため、すぐにおなかがすいて泣いてしまうこともあります。

対策について
その場合は、赤ちゃんがおっぱいやミルクに集中できるよう、静かな環境で授乳します。ケープやバスタオルをかけたり、テレビがついていない個室で授乳してもいいでしょう。赤ちゃんが集中して1回でおなかいっぱいになると、体重の増加も順調になり、しっかりと授乳感覚ができるようになってきます。
3.体重が測れない環境での赤ちゃん観察項目

体重が測れない環境で、ちゃんと成長しているだろうかと心配されるママはたくさんいます。また母乳のみの場合、どれだけ飲めているのかわかりにくいという心配もあります。
そのような時は、赤ちゃんのおむつをチェックしてみます。赤ちゃんの飲むおっぱいもミルクもほとんどが水分です。そのため、もし十分な量が飲めていなければ、おしっこの量が減ってきます。
また、水分が少ないおしっこは通常時よりも濃くなります。そこで、
- おしっこの色が濃い
- おしっこの回数が少ない(おむつ交換の回数)
このような様子が見られる場合は、赤ちゃんの飲むおっぱいやミルクの量が少ない可能性があります。
おしっこの他にも、
- 便があまり出ていない
- 授乳した後でも機嫌が悪い
- すぐに母乳を欲しがる
などの様子が見られるときにも、母乳が足りていない可能性があります。
心配なときはいつでも小児科へ
赤ちゃんについて心配なことがあっても、どこか調子が悪いわけではないと思うと、誰に相談したらいいのか悩んでしまうでしょう。
赤ちゃんが生まれて退院した後は、いつでも小児科に頼ってください。小児科には赤ちゃん専用の体重計もあり、体重が増えないときにはママと赤ちゃんに合うアドバイスをしてもらえます。
また、当サイトでも急ぎでなければ「看護師に妊活・妊娠・出産・育児の悩みを無料相談する」からご相談いただけます。

看護師ポイント
一番の成長期である赤ちゃんの体重増加は、今後の赤ちゃんの成長にとってとても重要な問題です。ママが安心できるように、そして赤ちゃんが順調に成長していけるように、ぜひ不安なことを声に出してください。
4.まとめ
今回は、赤ちゃんの体重の増え方、また体重が増えないときに考えられる原因とその対処法についてご紹介しました。しかし、これは一般的な原因と対処法でもあります。ママと赤ちゃんが抱える悩みはみなそれぞれ違います。
1人で悩まず、相談して専門的な意見を聞くだけでも安心につながります。ママと赤ちゃんが笑顔で過ごせるよう、いっぱい周りを頼っていきましょうね。
ストレスは適度に発散してください
初めての育児をするママは特に、新しい家族が増え生活環境がガラッと変わったことで少なからずストレスがかかってきます。まだ月齢が浅い時期には、昼夜問わず頻階に授乳しなければならず睡眠不足にもなってしまいますし、ちょっとの泣き声に反応し落ち着いていられません。
そんなストレスフルな状態では、ママの体力が限界になってしまったり、母乳に影響することもあります。赤ちゃんも生まれてきたばかりで、ママに頼ってばかりですが、ママもママになったばかりなのです。
頼れるときには周囲に甘えて、適度にストレスを発散できるようにしましょう。
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