アトピーと言う皮膚の状態を聞いたことがあると思いますが、アトピーとはどのような状態なのでしょうか。
夏に向けて紫外線が強くなる時期に、アトピー性皮膚炎の赤ちゃんに対して、どのような紫外線対策をしたらよいのでしょうか。
今回は、アトピー肌の赤ちゃんの紫外線対策+日焼け止めについてご紹介します。
【目次】
1.赤ちゃんのアトピーに関する基礎知識

生後間もなくから皮膚トラブルに悩まされる赤ちゃんも多いですが、全ての皮膚トラブルがアトピーとは限りません。赤ちゃんはもともとホルモンの関係で皮脂の分泌が多く
- 毛穴が詰まりやすくにきびができやすい
- 皮膚が薄いため乾燥しやすい
- 皮膚のバリア機能が未熟なため外からの刺激に弱い
このような傾向があり、一見アトピーのような皮膚症状が見られることが多いです。では早期にアトピーかどうかを見極めることはできるのでしょうか。
湿しんとアトピーの違いを知っておこう
湿しんとアトピーは両方とも何らかのアレルギー反応によっておこる皮膚の症状のことを言います。たとえば、
- 家事をしている母親の手が洗剤の刺激で炎症をおこし荒れてしまった状態
- 草花にアレルギーのある人がその草花に触れた部分だけ膨らんだり、赤みを帯びたりかゆみを伴うような状態
このような皮膚にあらわれるトラブルを経験したことがある方も多いのではないでしょうか。

看護師ポイント
皮膚トラブルがおきても、原因となったものを除去し、適切なケアをすることで症状は治まっていく場合は、一時的にあらわれていた湿しんです。適切なケアをして薬による治療をしているにも関わらず、繰り返し症状があらわれてなかなか治らない場合はアトピー性皮膚炎である可能性があるのです。
成長に伴って皮膚トラブルの症状が変わる
赤ちゃんは皮脂の分泌は月齢、年齢によって、量や部位が変化するため、皮膚トラブルがおこりやすい部位も変わってきます。たとえば、生後1~2ヶ月くらいの赤ちゃんは顔や頭におこりやすく、徐々に手や足、関節などに広がっていく傾向があります。
このような赤ちゃんの皮膚トラブルは、最初のうちは赤ちゃん特有の「乳児湿しん」と言われることが多いです。
2.すぐに小児科・皮膚科へ受診した方が良い皮膚状態

どんな時に病院に行けばよいのでしょうか?
すぐに小児科・皮膚科へ受診したほうが良い赤ちゃんの皮膚状態について説明します。
(1)乳児湿しんが治らない場合
乳児湿しんが治らない場合は小児科・皮膚科へ受診に行きましょう。
一時的におこる乳児湿しんでも、酷くなるとジュクジュクとした黄色い汁が出てきたり、赤ちゃんの手が届く部位は掻き壊してどんどん悪化してしまうことがあります。
赤ちゃんもかゆみから機嫌が悪く、ぐずぐずが続いたり、眠れなくなったりすることがあります。

看護師ポイント
この時点では、まだ乳児湿しんなのか、アトピーなのかを判断できないかもしれませんが、皮膚は身体を外敵から守る役割があるため、皮膚症状が原因となり何らかの感染症をおこしてしまう恐れもあります。
小児科や皮膚科を受診して、適切なケアの方法について指導を受けたり、薬による治療をしてもらいましょう。乳児湿しんであれば適切なケア、治療をするうちにきれいに治ってしまいます。
(2)アトピーを疑う状態の場合
赤ちゃんは皮膚が弱いため、皮膚トラブルはよくおこるものです。
そのため、皮膚の状態だけをみて、アトピーだと判断するのは難しく、様子を見ることも多いですが、2~3歳になっても皮膚トラブルが続くようであれば、アトピーなのか、またその原因となるアレルギー物質は何かを血液検査で調べることをお勧めします。

看護師ポイント
検査の結果アトピーであっても何のアレルギーがあるのかがわかれば、それを取り除くことで皮膚トラブルが改善することもあります。皮膚トラブルがよくなったり悪くなったりを繰り返していると、そのうちに皮膚が乾燥し硬くゴワゴワしたアトピー特有の皮膚の状態になってしまいます。
3.赤ちゃんのアトピー肌には紫外線対策が大切

皮膚トラブルの原因になるものはたくさんありますが、そのひとつに紫外線があります。
紫外線は皮膚の免疫力やバリア機能を低下させたり、日焼けにより肌にダメージを与えてしまいます。すると、皮膚の免疫機能が皮膚にある常在細菌に負けてしまい、炎症やかゆみを悪化させてしまうのです。
肌の乾燥対策とUVケア
目には見えませんが、皮膚からは常に水分が蒸発しています。そのため、適度に水分を補ってあげないと肌が乾燥してしまい、その乾燥もかゆみの原因になります。そこで、UVケアを兼ねて日焼け止めで肌を保湿してあげます。
大人用の日焼け止めではなく、赤ちゃん用の低刺激のもので十分です。また、UV効果のある衣類を身に付けてなるべく露出を避けるようにするとよいでしょう。
4.アトピー肌の赤ちゃんにおすすめの日焼け止め

アトピー肌の赤ちゃんは、皮膚への刺激の少ない日焼け止めがおすすめです。SPFやPAが書かれていますが、できるだけ数値の低いものを選びます。
(1)赤ちゃんのSPFとPAのおすすめ数値
SPF | 10~20程度 |
PA | ++程度まで |
※SPFとは:紫外線B波をカットする数値を表したものです。持続性の計算方式は、「20分×SPF=持続時間」となります。
※PAとは:紫外線A波の防止する効果を表したもので、「++++」から「+」までの4段階に強さが分かれています。
数値が低くても、こまめに塗りなおすことで十分効果は得られます。
(2)石鹸で軽く洗い流せる日焼け止めを選ぶこと
日焼け止めを落とすときに、石鹸で軽く洗い流すだけで落とせるものを選びましょう。いくら紫外線対策に効果があっても、石鹸などで洗う際に、強く擦るなどの肌への刺激になるケースがあるので、注意が必要です。
(3)アルコール成分が含まれているのも避けよう
その他、乳液タイプの日焼け止めに多いのですが、さらさらした感覚になるようアルコール成分が含まれるものがあります。
このアルコール成分が肌に刺激を与えてかゆみを起こす恐れがあるため避けたほうがよいでしょう。
5.母親直伝!夏の紫外線防止アイデア

赤ちゃんのうちは、「掻いてはだめ」といってもわかりません。そのため母親が気づくとボリボリ掻いていてなかなかよくならないものです。
また、紫外線をさけるため長袖を着させているため、赤ちゃんは暑くて汗をよくかき、かゆみを助長させてしまいます。そこで母親が考えたのは、冷たい服を着させると言うものでした。
冷凍庫に脱水された服を入れる
洗濯が終わって脱水された服をたたみそのまま冷凍庫に入れるのです。
外出のときは、半そでをきた赤ちゃんに冷凍庫に入った長袖を着させると、最初はひんやり冷たくて、外の暑さの中でも拭くが徐々に乾く中涼しく目的地までいけるのだそうです。

看護師ポイント
最初、ベビーカーから抱き上げたときに湿っている服にびっくりしましたが、確かに赤ちゃんは長袖を着ているにもかかわらず汗をかいておらず、ニコニコとご機嫌でした。
6.まとめ:看護師おすすめの対策等
アトピー肌の赤ちゃんはかゆくて泣いてしまったり、見ていてもかわいそうです。でも、まだアトピーと決め付けるのではなく、肌を清潔にし、保湿を心がけ、紫外線対策にも中止ながら様子を見てあげましょう。
看護師おすすめのUVケアグッズ
やはり一番のUVケアグッズは帽子です。まだ動き回らない赤ちゃんであればつばが深めの帽子で十分ですが、動くようになると視界を妨げて嫌がる子もいます。その場合は、キャップタイプの帽子の後ろ側に日よけ用のフラップをつけてあげるとよいでしょう。
普通の帽子でも、ガーゼやタオルをはさんだりして代用することができます。
汗をかいたときにはシャワーと保湿を忘れない
いくら紫外線対策をしていても、汗をかいたら日焼け止めも流れてしまいます。そのため、定期的に日焼け止めを塗りなおすようにします。また、汗によりかゆみが増すこともあります。そのため、汗を吸収しやすい衣類を選ぶこと、汗をかいたら拭き取るか軽くシャワーをしてまた日焼け止めで保湿をします。
しかし、何度もせっけんを使ってシャワーをしてしまうと皮脂が落ちすぎて、逆に乾燥させてしまいます。そのため、皮脂を落としすぎないようぬるま湯でさっと洗い流す程度で十分です。それだけでも赤ちゃんはさっぱりします。
また、外出時には汗をかいたときに着替えられるよう、いつもより多めに着替えを持ち歩くようにしましょう。
看護師が教えるアトピー肌の赤ちゃんに最適の遊び
お座りができるようになると、手や足の動きも活発になり、かゆいところに手が届いてしまいます。すると、肌の状態もなかなかよくなりません。そんな赤ちゃんに最適な遊びは、手を使う遊びです。他のことに夢中になることで、少しでもかゆみを忘れられるようにします。
紫外線の強い夏であれば、浅く水を張って水遊びが気持ちよくて赤ちゃんも喜ぶと思いますよ。
最後までありがとうございました。
ナース・ティーチャーの記事があなたのプラスになれば、シェアお願いします。
最新情報をお届けします
Twitter でフォローしよう!
Follow @nurse_teache