共働きや核家族が増えたことで、母親の負担が大きく、孤立しがちになっている現在では、育児ノイローゼかもしれないと感じる人の割合も増えつつあります。
我慢や放置することで虐待に繋がる可能性があるため、一人で思い悩まずに誰かの助けを求めることが大切です。
このページでは、育児ノイローゼになりやすい時期や気をつけたい症状についてご紹介していきます。
1.育児ノイローゼになりやすい時期

個人差はありますが、新生児期から幼児のイヤイヤ期が落ち着く4歳頃までが育児ノイローゼになりやすい時期だと言われています。
更にその中でも、発達段階によって子どもに手のかかる時期、産後母体のホルモンバランスが崩れている時期などがあり、育児ノイローゼになりやすい時期があります。
(1)生後2~3週間以降
出産後の母体は、ホルモンバランスの変化で気分が不安定になりやすいうえ、赤ちゃんの授乳回数も多く睡眠不足に陥りがちです。
最初は気を張っていますが、徐々に慣れない育児や泣くことしか訴える方法を持たない赤ちゃんとの生活に疲労を感じ始めます。産後うつ病を発症しやすい時期でもあります。
(2)生後6か月~1歳半
赤ちゃんの活動範囲が徐々に広がり始める時期です。
何でも口に入れてしまったり、ハイハイや歩き始めたりして目が離せなくなることが多くなります。
自分の時間を持つのが難しくストレスがたまりやすい時期
逆に後追いをして思うように家事が進まなかったりトイレにも行けなくなったりすることもあり、自分の時間を持つのが難しくなってきます。中には夜泣きが始まる赤ちゃんもいて、ストレスがたまりやすい時期と言えます。
(3)2歳からのイヤイヤ期
自我が芽生え始め自己主張が強くなる時期です。何でも嫌がったり泣いたりして子どものペースでしか物事が運びません。ひとつひとつ丁寧に対応しようとしても時間が許さないこともあり、お母さんもイライラすることが増えてきます。
2.治療が必要な育児ノイローゼの症状とは
育児ノイローゼの症状は、感情のコントロールが難しくなったり、睡眠や食事の障害が現れたりします。
周りに頼る人がいない場合には、症状が悪化し虐待へと繋がってしまう可能性もあるので、以下のような症状が見られるようになったら早めに専門機関へ相談しましょう。
(1)情緒不安定
些細な事でイライラしたり、怒鳴ったり、理由もなく涙が出ることがあります。
子どもが可愛いと思えない時やイライラして子どもに手をあげてしまう回数が多い時には虐待に繋がってしまいます。子どもの成長発達にも影響しますので早めの対処が重要です。
(2)うつ症状
子どもと関わりたくないと思うことや、何事にもやる気が起きなくなります。
今まで好きだったものにも興味がわかなくなり、外出するのも面倒になります。このような症状が現れると、どんどんと孤立することになり、子育てにも悪影響を及ぼす危険があります。
(3)睡眠障害
子育てで疲れているのに、眠れない状態になります。また、眠れても何度も夜間に目を覚ますことがあります。放っておくと、睡眠不足により更に感情のコントロールが難しくなり悪循環に陥る可能性があります。
(4)摂食障害
満腹でも「食べたい」という欲求が抑えられずどんどん食べてしまう過食や、食欲がなく食事を摂らない拒食になることがあります。拒食や、過食でも食べては吐くことを繰り返す場合には、早急な治療が必要です。
「もしかしたら」と思ったら一人で思いつめないで
上記のような症状が重い場合は早めの治療が必要ですが、もしかしたら、と気づいたときに一人で思いつめず、症状が軽いうちに受診して相談することも大切なことです。そうすることで治療期間や負担も少なくなりますし、重症化を防ぎ自分と子どもの体を守ることにも繋がります。
3.育児ノイローゼを治療するには何科に受診すればいいの?

育児ノイローゼは、心身症のひとつです。心が原因の疾患なので、精神科、心療内科、メンタルクリニックを受診すると適切な治療をしてもらえます。
精神科専門医が対話を重視してくれる病院
病院を選ぶ際は精神科専門医の医師が対話を重視してくれるところがお勧めです。
なお、臨床心理士を置いているところもあり、その場合は30分以上の心理療法(カウンセリング)を行ってくれますが、自費となります。
家族と一緒の受診がおすすめ
育児ノイローゼの背景には、夫が忙しくて、祖父母が近くにいない等、子育てを一人で背負っていることが多いです。そのため治療は、家族の協力が欠かせません。できれば一緒に受診することをお勧めします。
精神科への敷居が高いのであれば健診の時に相談を
精神科への敷居は以前よりも低くなってきてはいますが、なかなか踏み出せないときには、健診の時に相談してみてください。

看護師ポイント
周りに身内など気軽に相談できる人がいない時や、家族ではなかなか分かってもらえないときには、遠慮せずに子どもの受診時にでも相談することをお勧めします。
4.育児ノイローゼの治療方法について

育児ノイローゼの治療方法は主に投薬治療とカウンセリングの2つです。実際の現場では併用して行われることもあります。
抗うつ剤や睡眠剤等を利用した投薬治療
抗うつ剤、抗不安剤、睡眠導入剤などを服用します。
心を落ち着かせる薬を服用することで、気持ちはもちろん身体症状も軽快へ向かうことがあります。また、睡眠不足を解消することで他の精神症状が良くなることもあり、心と体は密接に関係しています。
医師や臨床心理士によるカウンセリング
カウンセリングの定義はかなり広いのですが、精神科医が行うものを精神療法、臨床心理士が行うものを心理療法と言います。
専門的な観点から心理的な働きかけを行うことで症状の軽快をはかります。先にも述べた通り、診察とは別に時間を設けていて自費や別料金のことがあります。
診断書をもらって子どもを預ける方法もある
24時間子どもと過ごしている場合には、症状によっては子どもと離れる時間を作る必要があります。
診断書をもらい、疾病枠で治療のための保育園入所という選択肢もあります。日中、自分の時間を持ちゆったりと心と体を休めることが治療になります。
まとめ
子どもにイライラをぶつけることが増えてきたときや、心や体の不調を感じ始めたら、勇気を持って「辛い」と声を出すことが何よりも重要です。大切な自分と家族のためにも迷わずに専門機関へ相談してください。
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