小児喘息とは、専門用語では小児気管支喘息と呼ばれ、その原因はハウスダストや花粉、特定の食べ物などのアレルゲンによって引き起こされる、呼吸困難の発作のことを言います。
通常は外来治療で経過を見ていくものですが、なかなか症状が改善されない場合、「入院が必要」と判断されることがあります。
このページでは、小児喘息の入院治療の実際や保護者が気になる入院期間について、説明していきます。
1.入院治療が必要な小児喘息の症状

入院治療が必要と判断される小児喘息の症状としては主に
- 外来治療でも症状が改善しない
- 喘息発作により脱水症状を起こしている
ときなどがあげられます。
外来で治療しても症状が改善しない場合
呼吸器には気管・気管支と呼ばれる、酸素を吸って二酸化炭素を吐き出す通り道がありますが、小児喘息になり喘息発作が起こると、そこが狭くなり息苦しさを感じるようになります。
そうなると、二酸化炭素を吐き出すことができなくなり、さらに酸素を肺に届けることもできなくなるため、血液中の酸素濃度が低くなってしまうのです。
このような症状を改善するために外来で吸入やステロイド剤を投与するなどの治療が行われますが、効果が見られなければ入院する必要があります。
喘息発作が続くことで脱水症状を起こしている場合
喘息発作による症状ではありませんが、ゼーゼー・ヒューヒューという状態が続くと、呼気からの水分喪失が多くなることや水分をとること自体が難しくなることで、頭痛やおう吐・けいれんなどの脱水症状を起こすことがあります。
2.入院治療は何をするの?

小児喘息は、発作の程度により小・中・大発作・呼吸不全の4段階に分類されます。
入院中はその状態に応じて「薬物療法」「酸素投与」「理学療法」の治療が行われます。
点滴・吸入などによる薬物療法
外来治療中同様、入院期間中も引き続き点滴・吸入による薬物治療が行われ、小児喘息が落ち着くまで継続していきます。
重度の発作には酸素投与が行われる
重度な発作が起きているときには、酸素を投与する必要があり、場合によっては持続的に吸入しながら酸素投与する方法が行われることがあります。
呼吸機能向上のための理学療法
呼吸機能を向上させる目的として呼吸器理学療法が行われることがあり、その際に訓練する内容としては、腹式呼吸や口すぼめ呼吸、深呼吸などになります。

看護師ポイント
しかし、子どもにはなかなか理解してトライしてもらうことが難しく、遊びを取り入れながら実施することが良くあります。
例えば、紙を折って子どもの好きなキャラクターのシールを貼ってから立てて置き、子どもはストローを使って吹き倒すというもので、点数を競いながら行うこと楽しく協力してくれることもあります。
3.小児喘息の入院期間はどのくらい?

小児喘息に対する治療の効果があらわれると、喘息発作が治まり、ゼイゼイ・ヒューヒューと言った症状が消え、呼吸が楽になり、だんだんと食欲が回復して、元気になっていきます。
その際、ステロイド剤を中止し、点滴を中止し、酸素や吸入回数を徐々に減らしていくことで、外来治療で対応できるレベルまでになると退院することができますが、その入院期間としては、それぞれ異なります。
通常は3~5日、合併症があると10~14日
通常、小児喘息だけで入院し、治療の反応も良く、退院するとなれば3~5日程度でできますが、それだけではなく、肺炎などを合併しているときには、10~14日近くかかることもあります。
退院の目安について
退院の目安としては
- 点滴をやめ、吸入回数が1日に2~3回程度にしても症状が悪化せず
- 酸素投与や痰の吸引をする必要もなくなり
- 食事や睡眠が十分とれ、会話もでき、ほとんど病気になる前の状態まで戻っている
場合となります。
4.小児喘息に関するQ&A

小児科病棟で保護者の方からよく聞かれる質問された内容についてまとめています。
Q:子どものころの喘息って大人になると治るって聞きましたが、本当ですか?

Q:小児喘息は、部屋が汚いとなる病気ですか?

例えば、「掃除はこまめにしているけど、家にぬいぐるみが多い。」という場合には、ぬいぐるみの数を減らし、定期的に洗濯することや、「室内でペットを飼っている。」という場合には、室外でペットを飼うか、特定の部屋を作ってできるだけ子どもに触れさせる時間を少なくし、空気清浄機を活用するなど、改善策を考えることが大切です。
Q:家でもできる呼吸が楽になる方法はありませんか?

また、痰が切れやすくなるように、適度に水分補給を行うことも大切で、できれば子ども用のイオン飲料水などを飲んでもらうようにすると、脱水を防ぐことができます。
その際、「こまめに、少しずつ」与えることがポイントで、一度に大量に飲んでしまうと、咳によって吐いてしまうこともあり、食事も同様で、大量に食べてしまうと、胃が大きくなり、呼吸がしにくくなってしまうため、注意するようにしましょう。
まとめ
入院治療が必要と判断される小児喘息の症状としては、外来で吸入やステロイド剤を投与するなどの治療を受けても改善が見られないときや、脱水症状を起こしているときです。
入院によって症状は徐々にコントロールされ、外来で治療できるレベルになれば退院することができますが、その期間はだいたい3~5日、長ければ2週間程度かかります。
小児喘息は、環境にも左右される症状であり、長期的な治療が必要な場合もますので、退院してからも気長に付き合っていく覚悟が必要です。
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しかし、全ての人が治るわけではなく、思春期になると症状は軽減しますが、そのうちの30%が成人喘息に移行し、また、症状がなくなった(寛解した)50~70%の子どものうちの30%が成人になって、再び発症することがあるとされています。