赤ちゃん「頭を打った」「やけど」などの応急措置について

赤ちゃん 事故 応急処置

乳児は見るもの、触るものすべてに興味津々です。そのため、ママが思いもよらないことを仕出かしてくれることも珍しくありません。

もし乳児に何かが起きたとき、慌てずに落ち着いて対応することが大事です。しかし、そのときの対応が分からなければ、乳児がどうなってしまうのか考えると慌てずにはいられません。

そこで、今回は乳児に起こりやすい事故を例に挙げて、その場合の応急処置やママにしてほしいことをご紹介します。

この記事を書いた看護師

現役看護師azuki
azukiさん
・東京都/30代前半
・正看護師免許

小児科の経験があります。どんなときも患者さんを思った優しさのあるケアができる看護師になることを目指しています。

1.乳児が頭を打った場合の対応

泣いている乳児

乳児は頭が重いため、よく頭をぶつけたり頭から転んだりします。もし乳児が頭を打ったときには、その後の様子をチェックしましょう。

 

(1)頭を打った後泣いていたか確認する

頭を打って痛ければ、ほとんどの乳児は泣きます。

一瞬なにが起こったのかわからず、キョトンとしていることもありますが、「痛い」ということに気付くと泣かずにはいられません。

乳児は、「痛い」と言えないため、泣くことでママに痛みを訴えているのであり、強く打っているにも関わらず泣かない場合は注意が必要です。

 

(2)打ったところが出血していないか確認する

打ち所が悪いと、出血してしまうこともあります。頭にはたくさんの血管が集まっているため小さな傷でも大出血に見えてしまうことがあります。

まずは、出血している箇所を清潔なガーゼやタオルで圧迫しましょう。しばらくして出血が治まってくるようであれば大丈夫です。

 

(3)こんな乳児の様子には要注意

頭を打って大きな声で泣き、しばらくして痛みが引いてくると泣きやみ、出血してもすぐに止まるという様子であれば、とりあえず安心です。

しかし、頭は命に関わる機能が詰まった部位です。そのため、頭を打ってから48時間程度は乳児の様子に変わりがないかどうか観察することをお勧めします。

そして、すぐに病院に連れて行かなければならない状況かどうかを見ておきましょう。

  • 強く打っているのに泣かない
  • 意識がない
  • けいれんしている
  • ぐったりしている
  • ボーっとしている
  • 出血が止まらない
  • 出血は止まったが皮膚がパックリ割れている
  • 長時間泣き止まない
  • 頭の形が変わった(たんこぶができた)

頭を打ってすぐ、または48時間以内にこのような様子が見られた場合は脳に何らかの影響が起きていたり、傷口からの感染などが起きたりする恐れがあります。

レントゲンなどの画像診断ができ、傷口の処理ができるような病院を受診しましょう。

 

2.乳児がやけどをした場合の対応

台所で鍋に手を伸ばす乳児

乳児はまだ危険なものを認識することができません。

そのため、熱く熱された鉄板に手のひらをついてしまったり、ママの使ったヘアアイロンに触れてしまったりなど、自分で回避できずにやけどをしてしまう可能性があります。

もしも乳児がやけどをしてしまったときの対処法をお伝えします。

 

(1)やけどをしたときの応急処置

乳児がやけどをしたらまずは冷やします。そのとき、注意することがあります。

  • 服を着ている箇所の場合は無理に脱がせない
  • 流水を強くあてない
  • 20分程度は冷やし続ける
  • 水ぶくれはつぶさない

もし、やけどをした箇所が服で見えなくても、服を脱がせることで皮膚がはがれるなど損傷させてしまう恐れがあります。そのため、服の上から流水をあてるようにしましょう

20分ほど冷やすことでやけどを皮膚の深くまで進行させず、痛みを和らげ跡が残りにくくなります。

流水をあまり強い圧であててしまうと刺激により皮膚を余計に損傷させてしまうため注意します。

 

(2)こんな場合はできるだけ早く病院で診てもらう

少し赤みがある程度で、範囲が小さいやけどであればしっかり冷やして様子をみるようにします。

しかし、以下のような場合はやけどの部分を冷やしながらできるだけ早く病院を受診しましょう。

  • 水ぶくれができた
  • 皮膚の表面が剥がれている
  • 赤み程度のやけどだが範囲が広い(乳児の手のひらサイズ以上)

このような状態は一見大丈夫そうに見えますが、外からの病原体の侵入を防いでいる皮膚の表皮がなくなり、水ぶくれが破れてしまうことでバリア機能が働かず、感染症になってしまう可能性があります

また、やけどの範囲が広い場合は表面だけのやけどなのか、深くまで損傷しているのかを判断してもらうためにも医師に診てもらうようにしましょう。

看護師からのポイント

看護師ポイント

乳児の皮膚は薄く、水分を多く蓄えています。皮膚が薄いために少しのやけどでも皮膚の深くまで影響を及ぼしてしまい感染症などをおこす恐れがあります。

また、やけどした箇所から身体の中の水分が出てしまうことで脱水やショックを起こしやすいため注意が必要です。

 

(3)こんな場合はいち早く救急車を要請する

やけどの状態が酷い場合は命の危険もあります。また、場合によっては表面に見えなくても呼吸によって空気の通り道である気道がやけどしている恐れもあります

  • 乳児の意識がない
  • 呼吸がおかしい
  • 皮膚が赤色以外の白色や黒色になるほどのやけど
  • やけどの範囲が乳児の手の大きさ以上

このような状態の場合は、迷わず救急車を呼び、早急に適切な処置を受けなければなりません。

 

3.乳児がタバコを食べてしまった場合の対応

タバコ禁止サインを持つ乳児

乳児の誤飲で多いのがタバコです。

ママやパパが口にくわえているのを見ている乳児には、タバコが食べられるものに思えてしまうのも理由かもしれません。

 

(1)タバコ1本で急性ニコチン中毒により死亡する恐れもある

タバコの箱に記載されているニコチン量は1ミリグラム程度ですが、フィルターを通さない場合は約10倍のニコチンを摂取することになります。

乳児は身体が小さいため、少しの量でもニコチン量が致死量に達してしまいます。だいたい10~20ミリグラムが致死量と言われており、タバコの銘柄によって1/2~1本だけでも命の危険があります。

タバコそのものではなく水に浸した吸殻を誤飲してしまった場合、水に溶けている分ニコチンの吸収が早いため余計に危険です。

 

(2)急性ニコチン中毒の症状とは

急性ニコチン中毒と思われる症状には、

  • 嘔吐
  • 腹痛
  • 下痢
  • 異常に不機嫌
  • 意識がない
  • 顔面蒼白
  • 錯乱する
  • けいれんする

といった症状が見られ、摂取量が多いほど重症になる可能性が高くなります。

 

(3)誤飲しているのを見つけた時の対応

タバコを誤飲しているのを見つけた場合の対応をご説明します。

 

誤飲したタバコの量が2センチ以下の場合

口の中や周り、手についているタバコを洗い流して様子を見てみましょう。ニコチンそのものは24時間程度で排出されるため、24時間程度は様子を見てあげます

 

2センチ以上誤飲している場合は吐かせる

2センチ以上誤飲しているようであれば、時間が経過し体内で消化されることで症状があらわれる可能性があるため、誤飲したタバコを吐かせてしまいます。

吐かせる方法としては、乳児の頭の位置が低くなるように抱えて、舌の奥を指で押して刺激を与えるか、乳児の頭の位置を低くした状態で胸の辺りに腕があたるように抱えて、背中を強く叩きます。

その後、すぐに病院を受診しましょう。しかし、既に意識がない、顔面蒼白、けいれんなどが見られる場合はすぐに救急車を要請しましょう。

吐かせるため、またはニコチンを中和させるために水分を飲ませた方がいいと考える方がいますが、ニコチンは水に溶けることで体内への吸収がよくなってしまいます。そのため、水分は与えずに病院を受診するようにします。

 

4.乳児が洗剤や化学薬品・硬貨・電池を誤飲した場合の対応

おもちゃを噛む乳児

乳児は、初めて見るものを目で見て判断するのではなく、口に入れてみて判断します。

そこで乳児が誤飲しやすい洗剤、薬品系や、硬貨、ボタン電池の対処法をお伝えします。

 

(1)洗剤や化学薬品を誤飲した場合の対応

おいしい味はしないため大量に誤飲することは少ないですが、少しであっても危険なものはあります。また、対処法によっては余計に害を与えてしまうこともあります。

食器用洗剤(中性洗剤)しばらくの間観察し、異変があれば受診する
洗濯用洗剤、柔軟剤しばらくの間観察し、異変があれば受診する
漂白剤飲んでしまった場合は水を飲ませて受診する
吐かせてはいけない
防虫剤ナフタレンやショウノウなどの場合、牛乳やミルクなどは避け、水を飲ませてすぐに受診する
灯油飲んでしまった場合はすぐに受診する
水を飲ませたり吐かせたりしてはいけない
香水などの化粧品アルコールやエタノール成分を含む化粧品の場合、水を飲ませてから吐かせて受診する
シャンプー・リンス水を飲ませてしばらくの間観察し、異変があれば受診する
乾燥剤石灰の乾燥剤の場合、牛乳や卵白を摂取させて受診する
吐かせてはいけない
水を飲ませ吐かせてからすぐに病院を受診する
(安定剤や血圧・血糖の薬、風邪薬は注意)

以下で詳しくご説明します。

 

食器用洗剤(中性洗剤)を誤飲した場合

濃縮タイプ、薄めたタイプがありますが、中性洗剤はそれほど害がありません。

念のため、しばらくの間は様子に変わりがないか観察し、異変があれば受診するようにしましょう。

 

洗濯用洗剤、柔軟剤を誤飲した場合

家庭で使用する洗濯用洗剤や柔軟剤であれば、それほど害はありません。

水分を取らせて、念のためしばらくの間は様子に変わりがないか観察し、異変があれば受診するようにしましょう。

 

漂白剤を誤飲した場合

漂白剤の多くは塩素を使用しています。そのため、舐めた程度であれば様子を見ても大丈夫ですが、飲んでしまった場合は水を飲ませて病院を受診します。

飲んだものを吐かせてしまうと漂白剤の成分が食道などを傷つけてしまう恐れがあるため、水を飲ませるだけにします。

 

防虫剤を誤飲した場合

家庭で使用されるような防虫剤の多くは、ほとんど害のないものです。しかし、防虫剤の中でもナフタレンやショウノウなどは危険性が高いです。

牛乳やミルクなどは避け、水を飲ませてすぐに病院を受診します。また、どんな成分かわかるように防虫剤も持参しましょう

 

灯油を誤飲した場合

舐めた程度であれば様子を見ても大丈夫ですが、飲んでしまった場合はすぐに病院を受診します。その際、水を飲ませたり、吐かせたりすることは避けます

 

香水などの化粧品を誤飲した場合

香水などアルコールやエタノール成分を含む化粧品は、大量に飲んでしまうと急性アルコール中毒を起こすことがあります。そのため、水を飲ませてから吐かせて病院を受診します。

それ以外の化粧品はほとんど害がありません。念のため、しばらくの間は様子を見て異変があれば受診するようにしましょう。

 

シャンプー、リンスを誤飲した場合

舐めた程度であれば様子を見ます。

飲んでしまった場合も水を飲ませて様子を見るようにして、異変があるようであれば受診するようにします。

 

乾燥剤を誤飲した場合

お菓子など乾燥を防ぐために使用されているシリカゲルはそのまま排泄されるためほとんど問題ありませんが、石灰の乾燥剤は酸化カルシウムが原料になっており、水分に触れると発熱します。

もし誤飲してしまうと口の中や胃などの消化器を熱で損傷させてしまう恐れがあります。そのため、粘膜を保護するために牛乳(体重1kgに対して15mL以下)や卵白を摂取させて病院を受診しましょう。

また、吐かせることは新たに食道などを損傷する恐れがあるため避けましょう。

 

薬を誤飲した場合

薬はいろいろな種類があり、大量に飲んでもそれほど影響のないものもあれば、少量でも乳児にとって危険な薬もあります。

特に多くの方が内服している可能性のある安定剤や血圧、血糖の薬などは大変危険です。

また風邪薬でも危険な成分を含むものもあります。そのため、水を飲ませ吐かせてからすぐに病院を受診しましょう。

 

(2)硬貨を誤飲した場合の対応

硬貨を飲み込んでしまった場合に怖いのは、サイズの大きい硬貨が飲み込む途中で止まってしまうことです。

もし、詰まっているようであれば吐かせてしまいます。しっかり飲み込んでしまった場合は、そのまま便と一緒に排泄されますが、そこまでの間で止まってしまうこともあるため病院を受診しましょう。

 

(3)ボタン電池を誤飲した場合の対応

硬貨と同様に、サイズが大きいボタン電池は飲み込む途中で止まってしまうことがあるため、その場合は吐かせてしまいましょう。

ボタン電池も便と一緒に排泄されますが、胃に入ったあと化学反応をおこして熱を持ったり、胃酸の影響で腐食してしまったりして身体に害を与える恐れがあります。そのため、早めに病院を受診して取り出してもらいましょう。

 

5.乳児が転んで歯を打った場合の対応

ハイハイする乳児

乳児が転んだとき、乳児ははっきりと状況を伝えられないためどこを打っているのか判断するのは難しいです。

しかし、乳児の場合、いくら乳歯とはいえ数年はその歯を使用します。また乳歯が原因で永久歯にも悪影響を与えてしまうこともあります。

そのため、歯に異常がないかを判断し、以下のような場合は受診するようにしましょう。

 

(1)歯がかけていないか確認する

歯が欠けている場合、欠けた部分から細菌が入り歯の神経に感染してしまうことがあります。

また、その影響で神経が死んでしまうと歯の変色がおきたり、歯の根の先に膿が溜まったりして永久歯にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)歯がグラグラしていないか確認する

乳歯は、歯を固定している骨が柔らかいため、強い刺激を受けると脱臼してしまうことがあります。

グラグラのままにしてしまうと、食事などで力が加わることで余計に刺激を与えてしまい、痛みを伴うこともあります。

 

(3)歯が抜けたり、位置がおかしくなったりしてないか確認する

強い刺激によって、グラグラするだけでなく歯が奥に食い込んでしまったり、抜け落ちたり、向きが変わったりすることがあります。

もし抜け落ちてしまった場合でも、すぐに処置をすれば元に戻せることがあります。

そのため、抜け落ちた歯を守るために牛乳に浸して30分以内に歯科医院を受診しましょう。歯科医院は可能であれば小児歯科や口腔外科を標榜しているところをお勧めします。

 

(4)出血している場合どこからの出血か見極める

出血している場合、唇なのか、歯茎なのか、どこからの出血なのかを見極めるために、清潔なガーゼやタオルなどを湿らせたもので口の中をふき取って観察し、出血している場所が見つかったら、ガーゼなどで圧迫します。

ゆすいでも良いですが、少量の出血でも大量出血のように見えてしまい逆に出血している場所がわかりにくい場合もあります。

歯の観察をして受診したあともしばらくの間は歯に異変があらわれることがあります。永久歯に生え変わるまでは定期的に観察をしましょう。

 

まとめ

今回は、乳児に起こりやすい事故とその応急処置をお伝えしました。しかし、乳児にとってもママにとっても突然で、びっくりしてしまうことでしょう。

とにかく慌てずに、今乳児に起きていることを的確に判断して、必要な応急処置を行ないましょう。

 

迷ったときは専門機関に電話する

思わぬ事故の対応に迷っているときは、自己判断をせずに、専門機関に連絡して相談してみましょう。

たとえば、日本中毒情報センターの中毒110番、小児救急電話相談などがあります。

また、かかりつけ医が空いている時間であれば、病院に連絡して相談してみてもいいでしょう。


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