熱性けいれんの受診や救急車を呼ぶ目安について

熱性けいれん 救急車 対応

熱性けいれんは乳幼児期に最も多く発症しますが、その好発年齢(発症しやすい時期)は6か月以上、6歳未満とされています。

発熱に伴って起こるけいれんですが、その症状は身体が硬くなりガクガクと震え、呼びかけても反応がなく、泡を吹いていることもあるため、あわてて救急車を呼ぶ保護者の方も少なくありません。

ここでは、様子を見るポイントや、受診をしたほうがよい症状や救急車を呼ぶべき症状など、熱性けいれんを起こした時の対応に役立つ内容をご紹介します。

この記事を書いた看護師

看護師 そらの
そらのさん
・山口県/42代
・正看護師免許

主に大手の総合病院で5年、小児科の看護師として働いていました。 これまでの経験と知識を活かして、少しでも皆さんのお役に立つことができればと思っております。

1.熱性けいれんの受診の目安

受診する子どもと女性医師

熱性けいれんを起こした子どもを受診させるタイミングとしては、「落ち着いてから受診して良い場合」と、「緊急な受診が必要な場合」があります。

まずは、けいれんが始まったと気付いたら、時計を見て時間を測定するようにしましょう。

 

(1)発症したら見ておくべきポイント

熱性けいれんが起こったら、あわてずに以下の点について確認するようにしましょう。

  1. けいれんしていた時間
  2. 意識があるかの有無
  3. 意識がなければ、その時間
  4. けいれんしている部位(一部なのか、全身なのか、左右対称か、非対称か)
  5. けいれん後の体温
  6. その他の症状(おう吐や下痢・頭痛など)

「緊急時の対処法」といったようなノートを作成しておき、その中に記載しておくことで、実際にけいれんが起きたときに落ち着いて対応することができます。

 

(2)落ち着いてから受診して良い場合

以下のものは心配のないけいれんであるため、あわてて受診する必要はありません。

  • けいれんが10分以内に治まる
  • 1回目のけいれんから数時間経っても再びけいれんを起こさない

ただし、他の病気が隠れていることもあるため、落ち着いてから一度は受診するようにしましょう

例えば、休日や夜間にこのような熱性けいれんが起きたときには、休日明け、もしくは、翌日の朝に受診しても遅くありません。

 

(3)緊急な受診が必要な場合

10分以内のけいれんを起こした場合でも、以下のような場合には、急いで病院へ受診するようにしましょう。

  • 生後6か月未満、もしくは6歳以上で熱性けいれんを起こした
  • けいれんを起こした後も熱がある

好発年齢(こうはつねんれい)以外で起こるけいれんや、熱がないのに起こるけいれんは「てんかん」の可能性があります。

また、けいれんを起こした後も熱がある場合には、それから再びけいれんが起こる可能性が考えられます。

そのため、休日・夜間にこのような熱性けいれんが見られた場合は、すぐに救急外来を受診し、診断してもらうようにしましょう。

 

迷ったら小児救急でんわ相談「#8000」に電話する

休日・夜間に熱性けいれんを起こして、どう対処したらいいのか、受診したほうがいいのか、救急車を呼んだ方がいいのかなど困ったら、小児救急でんわ相談「#8000」に電話してみましょう。

この短縮番号をプッシュすると、電話をかけた都道府県の相談窓口に自動転送され、小児科医師・看護師から適切なアドバイスを受けることができます

携帯電話に登録しておくか、固定電話の近くに電話番号を書いて貼っておきましょう。

各市町村のホームページでは、休日診療の当番表が掲載されているところがあるため、緊急なときのためにチェックして書きだしておくと、落ち着いて行動できます。

 

2.熱性けいれんで救急車を呼ぶ場合とは?呼ぶ際に伝える内容

走る救急車

子どもがけいれんを起こしたときには10分ほど様子を見て、その間にけいれんが止まれば落ち着いて受診しても心配ありませんが、「熱性けいれんで救急車を呼んだ方が良い場合」もあります。

その際、ただ呼ぶだけではなく子どもの様子を伝えておくと、救急隊員が到着した後スムーズな対応をしてもらうことができるため、「救急車を呼ぶ時に電話で伝える内容」をチェックしておきましょう。

また、「救急車に乗って病院へ行くときに持参してほしいもの」があるため、日頃から準備しておくと安心です。

 

(1)救急車を呼んだ方が良い場合

「熱性けいれんかな」と思っていても、別の病気が隠れていることもあるため、次のような場合は迷わず救急車を呼ぶようにしましょう。

  • けいれんが10分以上続いている
  • けいれんが止まった後に、再びけいれんが起こった
  • けいれんが止まっても、意識が戻らない(重度の昏睡状態)
  • けいれんと一緒に、おう吐・下痢・頭痛などの症状が見られる
  • けいれんした後に、麻痺が見られる
  • 頭を強く打った後、けいれんが起こった
  • 左右非対称性(左右同じ動きではない)のけいれんを起こした
  • 熱もないのに、けいれんを起こした

このような症状がみられたときには、てんかんや髄膜炎・急性脳炎・急性脳症などの可能性が考えられるため、救急車を呼んで病院へ行くようにしましょう。

 

(2)救急車を呼ぶ際に電話で伝える内容

子どもがけいれんを起こして救急車を呼ぶ際、「〇歳の子どもがけいれんを起こしています」と伝えるだけでも構いませんが、少し余裕があるときには以下のポイントを伝えるようにしましょう。

  1. 年齢(0歳児の場合は何か月か)
  2. 熱は何度か
  3. けいれんが続いている時間
  4. けいれんの回数(また、初めてのけいれんか)
  5. 意識があるか
  6. けいれんは左右対称性か、非対称性か
  7. けいれん以外の症状はあるか
  8. 今まで病気をしたことはあるか
  9. 今日一日の様子はどうだったか

例えば、全身のけいれんが15分以上続いたり、身体の片側だけが震える部分発作が24時間以内に2回以上起こったりすることを「複雑型熱性けいれん」と呼び、わずかですがその後にてんかん発作を起こしやすくなることが分かっています。

このように、けいれんを起こしているときの子どもの様子には、たくさんの情報が含まれているため、これらの症状がわかっていると治療しやすくなるのです。

看護師からのポイント

看護師ポイント

子どものけいれんを見たときにはパニックになる保護者の方も少なくないため、「こんなにたくさんチェックしておくのは無理」といった場合でも心配ありません。

救急車を呼んだときにこのような内容の質問をされますので、分かる範囲で答えるようにしましょう。

 

(3)救急車に乗って病院へ行く際に持参するもの

子どもがいる家庭では、いつでも受診・入院することができるように以下の必要なものを準備しておくようにしましょう。

  1. 保険証
  2. 母子手帳
  3. 財布
  4. 携帯電話
  5. 子どもの着替え・オムツ
  6. タオル

5と6については、病院で貸し出ししてくれるため急いで持参する必要はありませんが、入院した後に使うものですので一緒に準備しておきましょう。

 

3.熱性けいれんに関するよくある質問

思案する女性

小児科の看護師をしていたときに、保護者の方から熱性けいれんについて質問された内容についてまとめました。ぜひ参考にしてください。

 

Q:子どもの熱性けいれんは、脳の成長に悪影響がありますか?

看護師そらの
A:熱性けいれんであれば、脳に対する影響ということはありません。

ただし、保護者の方が「熱性けいれんかな?」と思っていても、他の病気である可能性があるため、けいれんを起こした後は一度受診して診断してもらうようにしましょう。

 

Q:熱性けいれんで入院が必要なのはどんな時ですか?

看護師そらの
A:熱性けいれんの場合、ほとんど入院する必要はありませんが、以下のようなけいれんの場合には、入院して様子を見ながら検査をすることがあります。

  • 10分以上のけいれんを起こした
  • けいれんが焦点性発作(意識がなくならない、もしくは意識消失が見られても軽微なものであり、部分発作とも呼ばれています)、または、24時間以内に何度か起こる
  • けいれんが起こる前から、神経学的異常や発達遅滞がある
  • けいれん後に意識がはっきりと戻らない
  • 1歳未満でけいれんを起こした
  • 38℃未満でけいれんを起こした
  • けいれん以外の症状として、おう吐・下痢・頭痛などが起こっている
  • けいれん後、麻痺が残っている

このような症状が見られたら、小児科の医師から入院をすすめられることがありますが、熱性けいれんだとわかれば特に心配することはありません。

 

Q:熱性けいれんは何歳まで続きますか?

看護師そらの
A:熱性けいれんは、6か月から6歳未満が好発年齢であるため、「6歳までは続く」と考えられますが、通常、熱性けいれんは1回しか起こすことはなく、再発するのは50%程度、3回以上起こす場合は10%未満と低くなっています。

 

Q:熱性けいれんに後遺症ってありますか?

看護師そらの
A:乳幼児の10人に1人は起こすと言われている熱性けいれんは、後遺症が残ることはありません。

しかし、他の病気が隠れている可能性もあるため、熱性けいれんを起こした後、落ち着いたら受診するようにしましょう。

 

Q:熱性けいれんで、救急車を呼んではいけないのでしょうか?

看護師そらの
A:子どもがけいれんを起こす様子を見ると驚いてしまうため、救急車を呼んでも構いませんが、「電話をしてよいのか迷う」という方は、「#8000」に電話し、相談しましょう。

とはいえ、緊急性が高いものでなければ救急車を呼ばなくてもよいため、子どもにけいれんが起こったら詳しく観察する必要がありますが、けいれんを起こしている間は時が経つのが遅く感じてしまうため、きちんと時計を見ながら測定してください。

 

まとめ

落ち着いてからの受診で良いけいれんが10分以内に治まる
1回目のけいれんから数時間経っても再びけいれんを起こさない
緊急の受診が必要生後6か月未満、もしくは6歳以上である
けいれんを起こした後も熱がある
救急車を呼ぶ必要があるけいれんが10分以上・2回以上続く
けいれんが左右対称性ではない
けいれんの後に麻痺や意識が戻らない
けいれんと一緒におう吐・下痢・頭痛などの症状がある
そもそも熱がないのにけいれんを起こした
頭を強く打った後にけいれんが起こった

症状によって対処の仕方が変わります。

熱性けいれんを発症したら、子どもから目を離さずに観察する必要があります。

普段から緊急時のチェック項目などをノートにまとめておき、いざというときにあわてず行動できるように心がけましょう。


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