生理が来るはずの日を過ぎても来ず「もしかしたら妊娠したかも?」という場合、ほとんどの方が病院の受診よりもまず先に、市販されている「妊娠検査薬」を使って調べてみるのではないでしょうか。
薬局等で簡単に手に入る妊娠検査薬は、妊娠しているかどうかをまず自分で確かめることができる便利な物です。
ではその妊娠検査薬の正しい使い方をご存知ですか。
実は検査をするタイミングによっては判定結果が分かりにくかったり、正確でなかったりすることもあるのです。
そこで今回は、妊娠検査薬の正しい使い方と、陽性が出た場合その後の産科の受診のタイミングについてご紹介します。
1.妊娠検査薬の正しい使い方

まず、妊娠検査薬の仕組みや使用方法についてしっかりと理解し、実際いつからなら妊娠の有無の判定が出るのか、その使用のタイミングと使用上の注意点とを確認していきましょう。
(1)妊娠検査薬の使用の手順とは?
市販の妊娠検査薬には説明書が入っているため、検査を始める前に必ず確認し、説明書通りに行いましょう。
(1)妊娠検査薬に尿をかける
まず妊娠検査薬の尿吸収部分に尿をかけます。
うまく尿をかけることができない方は、紙コップに尿を取って尿吸収部分を浸す方法でも大丈夫です。
(2)判定を待つ
妊娠検査薬を平らな場所に置いて判定を待ちましょう。妊娠検査薬がほとんどは1分で判定結果がでます。
(3)検査結果を確かめる
判定時間が過ぎると、妊娠検査薬の「終了窓」に線が浮き出てきます。その際、「判定窓」も線が浮き出ているが確認しましょう。
判定窓にも線があれば「陽性」ということであり、これは「妊娠している」ということを示します。
また判定窓に線が出てこなければ「陰性」で、これは「妊娠していない」ということになります。
判定時間を過ぎても「終了窓」に線が浮き出なければ、かけた尿の量が少なかったり多すぎたり、検査薬を水平にして判定を待たなかったりなどという理由が考えられるため、再検査を行いましょう。
(2)妊娠検査薬の陽性、陰性の判定の仕組みとは?
妊娠検査薬は、尿中に含まれるhCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の濃度の量で妊娠か否かを判定します。
通常、妊娠していないと尿中にはこのhCGは検出されません。
妊娠が成立すると尿中にhCGが分泌され始め、その値が徐々に増えていきます。つまり、受精卵が子宮に着床してから胎盤で分泌され始めるのです。
そして徐々にその量を増やして妊娠2~3ヶ月頃にピークとなります。
したがって、尿中hCGの濃度が判定基準値以上であれば「陽性=妊娠している」、判定基準値以下であれば「陰性=妊娠していない」ということになります。
(3)妊娠検査薬が使用できるのはいつ?
一般的な妊娠検査薬は、「尿中hCGの濃度が50mIU/ml以上」で「陽性」の判定が出るようになっています。
hCG値は妊娠3週で20~50mIU/ml、妊娠4週では200mIU/ml程度となるため、妊娠検査薬では妊娠3週の終わりから妊娠4週初め頃に「陽性」になる可能性があります。
これは生理に例えると「生理予定日頃」ということになります。
生理予定日の1週間後に検査することが確実である
hCGの分泌量やスピードには個人差があります。本当は妊娠しているのに、生理予定日頃に検査をしてみると「陰性」ということもあります。
これは、その個人差という理由でhCGの濃度がまだ50mIU/ml以上になっていなかったということになります。
したがって妊娠判定の確定度からすると、生理予定日の1週間後(妊娠5週)に妊娠検査薬を使用することが確実な使用時期ということになります。
2.検査が陽性だった時の受診のタイミングについて

では市販の妊娠検査薬を使用して「陽性」の判定が出た場合はどうしたら良いのでしょうか。気になる産婦人科受診のタイミングをご説明します。
(1)妊娠確定には産婦人科の受診が必要である
妊娠検査薬を正しく使用して「陽性」反応が出た場合は、妊娠している可能性が高くなります。
しかし、妊娠検査薬だけでは正確な「妊娠確定」とはならないので注意しましょう。「妊娠確定」するには、やはり産婦人科の受診が必要です。
妊娠検査薬の「陽性」は尿中のhCGの濃度で判定するため、子宮外妊娠や流産など正常な妊娠をしていない場合でも「陽性」として反応することがあるのです。
(2)異常の早期発見のためにすぐ受診するべきである
正常な妊娠をしているかは、産婦人科で経膣エコーという超音波検査をしてもらうとわかります。
胎児の袋と呼ばれる胎嚢は妊娠5週頃から確認できることが多いです。この胎嚢があれば、まず子宮外妊娠でないことがわかります。
一般的な市販の妊娠検査薬は、生理の予定日が過ぎて1週間程経った頃(この頃が妊娠5週目)に使用するため、この時期に検査をして「陽性」反応が出た場合は、早めに産婦人科を受診することをおすすめします。
早めの受診は異所性妊娠と言われる子宮外妊娠や流産の早期発見につながります。

看護師ポイント
もし子宮外妊娠に気付かずに放置しておくと、卵管破裂などの重大なトラブルを引き起こし、最悪の場合は出血性ショックで生命に危険が及ぶこともあります。
流産の場合は大量の出血と起こしてしまったり、子宮内感染を引き起こしたりし、次の妊娠への影響も出てきます。
3.妊娠検査薬に関するよくある質問

ここでは、実際に妊娠検査薬に関するよくある質問とその回答をご紹介します。
Q.妊娠検査薬を使ってみましたが、判定窓の線が分かりづらいです

Q.妊娠検査薬での結果は、薬の投与やアルコールの摂取が影響しますか?

しかし、不妊治療などですでに産婦人科を受診中で、hCGを含む注射を投与されている場合は、この注射によるhCGを検出してしまうため妊娠をしていなくても注射後1週間位は「陽性」となることがあります。
hCG注射を受けている方は、注射後2週間位空けて検査をするか、医師に相談すると良いでしょう。
アルコール摂取による検査結果への影響はありません。
Q.妊娠検査薬で陽性が出ても妊娠でない場合とは?

以下に例をご紹介しますが、これらは結果的に見ると「陽性」ではなく「偽陽性」ということになります。「陽性」反応が出た場合はすぐに産婦人科を受診して、妊娠の確定をしてもらいましょう。
子宮外妊娠 | 子宮以外の卵管や卵巣などの場所に受精卵が着床してしまうこと どの場所でも受精卵が着床するとhCGが分泌されて検査薬の結果は「陽性」となってしまう |
流産 | 初期流産では流産直後の場合まだ「陽性」反応が出る場合がある 初期流産よりもさらに以前に起こる化学流産でも一旦「陽性」反応が出る場合がある |
hCG産生腫瘍 | 胎盤を構成する絨毛に絨毛上皮腫という癌ができるとhCGが多く分泌されるため「陽性」反応が出る |
hCGが含まれる薬を投与している (性腺刺激ホルモン剤など) | 不妊治療などでプロゲステロンの分泌を促進させて受精卵を着床しやすくするためにhCGを投与する場合がある |
閉経後 | 閉経後しばらくすると、黄体化ホルモン(LH)が高値になる LHはhCGと性質が大変似ておりLHをhCGと見なしてしまう場合がある |
Q.妊娠検査薬で陰性だったのに生理が来ない場合とは

様々な理由がありますが、もし「陰性」となっても生理が始まらない場合は数日おいて再検査をしてみましょう。
それでも「陰性」で生理が始まらない場合は、産婦人科で相談してください。以下に考えられる原因例を挙げました。
生理不順 | 疲れやストレス、睡眠不足などが原因でホルモンバランスが崩れたために生理が不順になってしまった |
hCG濃度が不十分 | 妊娠検査薬使用に適した生理予定日1週間後(妊娠5週頃)にはほとんどの人のhCGは50mIU/ml以上になるが、 稀に50mIU/mlまで高くなっておらず妊娠をしているのに「陰性」の結果が出てしまうことがある |
子宮外妊娠などの異所性妊娠、 流産、胎状奇胎 | 受精して一度は妊娠扱いになってしまうが、正常妊娠でない場合はhCG濃度が十分に上がらないこともある 検査をしても「陰性」となってしまい、さらに生理が来ない状況となる場合もある |
まとめ
今回は妊娠検査薬の使用するタイミングや正しい使用方法、受診のタイミングや注意点についてまとめてみました。
「妊娠したかもしれない」と思うと、出来るだけ早くその結果を知りたくて、まずは妊娠検査薬を使いたい方が多いでしょう。
しかし、使うタイミングや方法を間違うと正しい結果が出ず、逆に不安が募ってしまいます。
この記事を参考にして、正しく妊娠検査薬を使ってください。
そして妊娠検査薬が「陽性」と出た場合や、何らかの不安や疑問がある場合は産婦人科を受診することを忘れないでください。
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心配な場合は2~3日おいて再検査をしてみてください。再検査で判定窓に線が出たら結果は「陽性」です。