出生前診断のデメリットと診断を受ける病院の選び方について

出生前診断 デメリット 病院

生まれる前に赤ちゃんの先天性の病気や奇形、染色体異常などを調べる検査をまとめて「出生前診断」といいます。

「聞いたことはあるけどどこで受けられるのだろう?」「どんなリスクがあるのだろう?」など分からないことがたくさんあるのではないでしょうか。

35歳を過ぎた方であれば「自分も受けた方が良いのかな?」と悩むこともあるでしょう。

心配される通り、35歳を過ぎてからの高齢出産となると、20代に比べると出産によるリスクは高くなります。

一人でいろいろ悩む前に、ご家族や主治医に相談することが解決の近道です。

今回は、出生前診断のデメリットや病院の選び方などについてご紹介します。参考になれば幸いです。

この記事を書いた看護師

助産師・看護師jun
Junさん
・大阪府/30代
・正看護師免許
・助産師免許
看護師資格を取得し、その後、助産師資格も取得しました。助産師として働きだし15年以上になり、妊活、子育てで悩むママさんを少しでも看護師・助産師目線でサポートできる記事を執筆していきます。

1.出生前診断のデメリットとは

悩む夫婦

出生前診断を受けるデメリットについてご説明します。

 

(1)結果が出るまで相当な精神的負担となる

検査を受けるまでの悩みとは違い、検査後も相当ストレスフルな状態となることが考えられます。

超音波検査であれば受けたその日に結果を聞くことができますが、超音波検査のみでは診断できる範囲が限られています。

母体血による検査や羊水検査を受けた場合には、結果が出るまでに2週間程度の時間がかかります

この時期はどうしても良くないことを考えてしまいます。

本来なら妊娠を喜び幸せな気持ちで過ごせる時期に、悪い想像と戦う覚悟が必要となってきます。

 

「軽い気持ちで検査を受けなければ良かった」と後悔

40歳での初めての妊娠、特に検査などは考えていなかった妊婦さんの話です。

病院で「検査を受けないなんて珍しいですね」と医師から不思議がられたため検査を受けることにしました。

「検査前は年齢が年齢だから受けた方がいいのかな、血を取るだけみたいだし」くらいの軽い気持ちで検査予約したそうです。しかし、大変なのは検査後からでした。

「今まで何も気にしていなかったのに、雑誌などを見ると自然と出生前診断の記事が目に入るようになった。良くないことばかりが頭に浮かんできて眠れなくなった。どんな結果でも受け入れると考えていたはずなのに、そんな気持ちになる自分が嫌になった」と話していました。

検査結果は問題なく、無事に出産されましたが、出産後も「あんな気分になるなら受けなかったら良かった、受ける前に受けるかどうかをもっと悩めば良かった」ということでした。

やはり、検査を受ける前に必要かどうかしっかり考えることが大切です。

 

(2)どの検査も100%の確定診断ではない

出生前診断にはいくつかの種類があり、それぞれ分かることが異なります。

つまり、いくつかの検査を組み合わせることで、病院や奇形の発見、染色体異常の発見により近付いていけるということです。

各種検査について説明しますが、確定診断とされる検査でも99.9%の検出率だと知っておく必要があります。

NT(胎児浮腫)のチェックダウン症候群(21トリソミー)の約80%が検出できる
確定的検査(絨毛検査、羊水検査)を受けることでより正確な評価につながる
母体血清マーカー検査ダウン症候群の検出率は約80%である
新型出生前診断(NIPT)ダウン症候群の検出率が99.1%と非常に高い
NIPTで陰性と結果がでた場合は99.9%の的中率である
絨毛検査染色体異常全般検出率99.9%の確定診断である
約1%の流産リスクがある
羊水検査確定診断である
約0.3%の流産リスクがある

 

NT(胎児浮腫)のチェックの場合

妊娠初期に「赤ちゃんの首の後ろのむくみ」をエコーで測定する検査です。

正確なNTとお母さんの年齢を組み合わせることで、ダウン症候群(21トリソミー)の約80%が検出できるとされています。

これは確定診断ではなく、ハイリスク症例を見つけ、確定的検査(絨毛検査、羊水検査)を受けることでより正確な評価につながります。

助産師からのポイント

助産師ポイント

超音波検査で最近増えてきているのが、胎児ドック、胎児超音波スクリーニングと呼ばれるエコーによる精密検査です。妊婦健診などで実施している超音波検査のより詳しい検査だと考えて下さい。

赤ちゃんの先天性の心疾患や横隔膜ヘルニア、腹壁破裂などの形態学的異常など、染色体異常ではない病気の診断ができます。

 

母体血清マーカー検査の場合

妊娠中期にお母さんの血液で行う検査です。

この検査も超音波同様、お母さんや赤ちゃんへのリスクはありませんが、ダウン症候群の検出率は約80%とされています。

 

新型出生前診断(NIPT)の場合

2013年から新しく行われるようになったお母さんや赤ちゃんへのリスクがない、血液による検査です。

母体血清マーカーとの大きな違いは、ダウン症候群の検出率が99.1%と非常に高いことです。

また、NIPTで陰性と結果がでた場合は99.9%の的中率だとされています。

 

絨毛検査の場合

妊娠初期に腹部に針を刺して行う検査です。

羊水検査よりも早く行える確定診断(染色体異常全般検出率99.9%)ですが、流産リスクが約1%と高くリスクが伴います

 

羊水検査の場合

妊娠15週以降に腹部に針を刺して行う検査です。

絨毛検査同様、確定診断です。流産リスクは約0.3%となっています。

 

(3)産むと決めたあとも悩みがつきない

出生前診断により分かる病気の中には、手術で完治可能なものから、一生の障害として付き合っていく必要があるものまでさまざまです。

障害がある子どもでも、受け入れると決め妊娠継続したとします。

そこには、両親や親戚などからの反対や、障害について知るほど不安が大きくなるなどの気持ちの揺れが続きます。

仕事を持つ女性は「仕事を続けられるのだろうか」「この子の将来はどうなるのか」など、出産するまで不安に付き合っていく覚悟も必要です。

助産師からのポイント

助産師ポイント

現実には、出産前には何の異常もなかったけれど後から心臓の病気が見つかった、出産時のトラブルで障害が残ったなど産むまでは何があるか分からないのが出産だと考える必要があるのではないでしょうか。

 

2.出生前診断を受ける病院の選び方

女性患者と女性医師と女性看護師

次に、出生前診断を受ける病院の選び方についてご説明します。

 

(1)妊婦健診を受けている病院の主治医から紹介してもらう

出生前診断を受けるか迷っているなら、まずは、妊婦健診で通っている病院で相談してみることです。

例えば、妊婦健診を受けている病院では採血による母体血清マーカー検査しか実施していなかったとします。

考え方としては、通院中の施設でできる範囲の検査を受け、その結果を主治医が見て、必要なときには他の検査が受けられる施設を紹介してもらうことが挙げられます。

あるいは、高齢出産などで始めから羊水検査なども視野に入れているなら、早めに主治医に伝え、幅広く検査ができる施設を紹介してもらう方法です。

いずれにせよ主治医に相談することで、紹介状を持って他の施設へ検査に行くことができます

 

(2)他の施設を検索し検査ができるか問い合わせてみる

「主治医に相談したけど必要ないと言われた」「主治医には今さら言いにくい」など、妊婦健診を受けている病院では親身に話を聞いてもらえない、話にくいという方がまれにいます。

そんな方は、今通っている病院だけにこだわらず、他の施設を自分で探してみるのも一つの方法です。

最近では、病院のホームページを見ると「どんな検査をしているのか」「どのくらいの費用がかかるのか」など詳細に紹介している施設も多くあります。

そこに自分で連絡して、自分が望む検査ができるのか確認してみて下さい。

実際は、ある程度の知識がないと難しいかもしれませんが「素直に紹介状がないこと」「主治医には言いにくいこと」などを伝えると相談にのってもらえるはずです。

 

3.出生前診断に関するよくある質問

エコー検査を受ける女性

出生前診断について、よく聞かれる質問とその回答をご紹介します。

 

Q.診断を受けたいと思ったら誰でも受けられますか?

助産師Jun
新型出生前診断(NIPT)は検査の対象となる妊婦が決められています。

  • 高齢出産の人(35歳以上)
  • 過去に染色体異常子どもの妊娠や出産経験がある
  • 医師から赤ちゃんの何らかの異常を指摘された

以上の3つのいずれか1つの条件を満たしていることが必要です。

他の出生前診断は、基本的に本人の希望があれば受けることができます。

しかし、確定診断(絨毛検査、羊水検査)には流産、破水、出血などのリスクもあり、安易に選択すべきでないことは言うまでもありません。

選択前に、医師や遺伝カウンセラーとしっかり相談することが大切です。

 

Q.費用はどのくらいかかりますか?

助産師Jun
検査によって検査費用が違いますが、いずれも自費診療になります。

目安として、NTを調べる超音波検査は1〜5万、母体血清マーカーは2〜3万、NIPTは21万程度、確定診断(絨毛検査、羊水検査)は10〜20万です。

同じ検査でも、施設により金額が違ってくるため事前に確かめておくことが必要です。

 

Q.妊娠中いつでも受けられますか?

助産師Jun
検査によって実施できる時期が違ってきます。

NTを調べる超音波検査は妊娠11〜13週、母体血清マーカーは妊娠15〜18週、NIPTは妊娠10〜22週、絨毛検査は妊娠11〜15週、羊水検査は妊娠15週以降とそれぞれに適切な時期があります。

 

Q.新型出生前診断はどこで受けられますか?

助産師Jun
新型出生前診断(NIPT)はどこでも受けられるものではありません。

検査に関する十分な知識を持った経験豊かな産婦人科医や小児科医が常勤している、遺伝カウンセリングができる環境が整えられている施設に限られています。

現在日本では、83施設が認定されています(2017年4月現在)。

この検査を受けるには、検査前に夫婦揃ってのカウンセリングが必須の条件になっています。

 

まとめ

高齢での出産が当たり前になりつつある今、出生前診断にも注目が集まるようになってきています。

産まれる前に赤ちゃんの異常を発見し、中絶を選択する人が増えてしまうと懸念されがちですが、先天性異常の病気を早期に発見することで、いち早く処置や治療を開始できるメリットもあります。

また、事前に障害について学んだり、心の準備をしたりと出生前診断を受けたからこそできることもあるのです。

世間の賛否両論に左右されることなく、夫婦で話し合い、出生前診断に向き合うが大切です。

今は検査を受ける前の遺伝カウンセリングだけを受けられる施設もあります。いずれにせよ、後悔しない判断ができることが大切なのではないでしょうか。


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ABOUTこの記事をかいた人

jun

【大阪府/30代/正看護師免許/助産師免許】助産師として働きだし15年以上になりました。読んだ方が、「また明日も頑張ろう」と気持ちを後押しできるような記事が書けるよう、頑張ります。