葉酸を摂ることで、妊娠率が高くなるわけでも、妊娠しやすいカラダに変化していくわけでもありませんので、注意が必要です。
葉酸摂取は婚活や妊活に直接結びつく活動ではないと言うことになります。
- 「それって妊活が成功した人(子供ができた人)が摂ればいいんじゃないの?」
- 「私が知りたいのは婚活に役に立つことなんだけどなぁ」
と言う声が聞こえてきそうですが、ここで質問です。
- 「妊活は赤ちゃんを授かることが目的ですか?」
- 「赤ちゃんが皆さんの元に来てくれたら、妊活は成功したことになるのでしょうか?」
妊活の目指すところは、お腹の中で赤ちゃんを元気に育て、新たな家族をもつことではないでしょうか。
また、婚活中の方が目指すところは、いつでも妊活できるようカラダを整えることではないのでしょうか。
そのために必要なものが「葉酸」だと考えて下さい。
今回は葉酸の効果や摂取方法についてまとめてみました。参考になれば嬉しいです。
1.妊活中の葉酸の効果について

「葉酸」は婚活や妊活に取り組む女性だけに深い関わりのある栄養素ではありません。
新陳代謝や細胞分裂を促進するのに必要なビタミンが「葉酸」です。
動脈硬化や高血圧を引き起こす物質(ホモシステイン)の血中濃度を下げる効果もあります。さらに、ビタミンB12と一緒に摂ることで造血作用が促進され、貧血改善にも効果があります。
そして、妊娠すると妊娠4週までに正常な細胞分裂を促し、赤ちゃんの原石を育てることに効果を発揮します。
妊活中の女性に葉酸が必要な理由とは?
妊娠前の最後に生理が始まった日を妊娠0週0日と考えます。ここから排卵日を迎え受精し、子宮の中に赤ちゃんがいることが分かるまでに早くても5〜6週かかります。「妊娠したかも?」となるときはどんなときか考えみて下さい。「今月生理がなかなか来ないな、もしかしたら、、、」となったときですよね。
ということは(最後の生理が来た日から約1ヶ月後)生理予定日から数週間後になるはずです。
妊娠前の最後に生理が始まった日 | 妊娠0週0日 |
(最後の生理が来た日から約1ヶ月後) | (妊活中でもこの間に葉酸が必要だということ) |
(赤ちゃんの細胞分裂は妊娠4週までが大切) | |
子宮の中に赤ちゃんがいることが分かるまで | 5〜6週程度かかる |
結果、子宮の中の赤ちゃんに気づくのは1ヶ月以上経ってからとなるわけです。
先ほど、赤ちゃんの細胞分裂は妊娠4週までが大切だと説明しました。つまり、その期間は妊娠に気づく前ということになります。いつ妊娠するかもしれない状況である妊活中の女性に、葉酸が必要だという理由がここにあります。
では、細胞分裂が上手く行かなかったらどうなるのでしょうか。神経管閉鎖障害のリスクが高まります。
1万人に約6人の割合で発生する神経管閉鎖障害について
神経管の上部で閉鎖障害が起きると、脳の形成が不十分になる無脳症を引き起こし、流産や死産の確率が高くなります。

助産師ポイント
神経管の下部で閉鎖障害が起きると、足の運動障害や膀胱・直腸機能の障害が起きる二分脊椎症を引き起こします。ここでのポイントは「妊活中に必要な量の葉酸を摂取していれば、必ず神経管閉鎖障害が起きず赤ちゃんは正常な細胞分裂ができるのか?」というと、残念ながらそうではないことが分かっています。
つまり、神経管閉鎖障害=葉酸摂取不足ではないのです。現段階では葉酸不足により起こったのか、他の原因で起きたのかということははっきり分からないのが実情です。
2.葉酸はいつから、いつまで摂取することが正しいのか

赤ちゃんの先天異常予防を考えると「妊娠する前の最後の生理が始まる1ヶ月以上前から、妊娠3ヶ月まで」を目安に摂ることです。
以下日程の30日前 | 葉酸の摂取 |
妊娠前の最後に生理が始まった日 | 葉酸の摂取 |
妊娠3ヶ月まで | 葉酸の摂取 |
でも、実際には妊娠する日を正確に予測することは不可能に近いです。
できる方法としては、
- 「妊活中で妊娠を望んでいるとき」
- 「いつ妊娠を考えても良いとき」
は葉酸を摂取することです。
3.葉酸の摂取方法について

皆さんは「今、普段の生活でどのくらいの葉酸を摂れていますか?」と聞かれても答えに困りますよね。
国民栄養調査では、20〜30代の女性は1日約300μgの葉酸を摂っていることが分かっています。
20~30代の葉酸摂取量 | 300μg/1日 |
厚生労働省が推奨 | 480μg/1日 |
厚生労働省が推奨しているのは、妊娠を望む人や妊娠初期の妊婦さんには、食事やサプリメントでの1日480μgの葉酸摂取です。
(1)食事での葉酸の摂り方と摂取量表
食品で葉酸を摂るときのポイントは調理法です。食品に含まれる葉酸は、水に溶けやすく加熱すると破壊されるからです。
摂りやすい食品として(100gあたりの葉酸量)は、以下の通りです。
納豆 | 120μg |
枝豆 | 260μg |
ほうれん草 | 210μg |
イチゴ | 90μg |
みかん | 22μg |
バナナ | 22μg |
エリンギ | 65μg |
始めから調理しなくても良い、納豆・枝豆・イチゴ・みかん・バナナなどがお勧めです。

助産師ポイント
ここでのポイントは、食品に含まれる葉酸は吸収率が悪いので、食べた分の半分ほどしか吸収されないということです。例えば、いちごで90μgの葉酸を摂るなら実際はその倍食べなければいけないのです。だいたいイチゴ100 gは7〜10個になります。14〜20個食べなければ、100g分の葉酸は摂れないということです。
(2)サプリでの葉酸の摂り方について
葉酸サプリを探すと、錠剤がほとんどですがカプセル型のものもあります。大きさもさまざまで、何粒摂るのかなども自分に合うものを選ぶことが大切です。
葉酸サプリの摂取は、続けなければ効果がないからです。
続けるために必要なこととしては、コスト面です。まとめ買いや定期購入を上手に利用するのも1つです。
4.葉酸摂取の注意点について

葉酸は1000μg以上摂取すると、
- 発熱
- 蕁麻疹
- かゆみ
- 食欲不振
- むくみ
- 不眠症
- 呼吸困難
など、葉酸過敏症が起きる可能性があります。
他にも、ビタミン12が欠乏して起こる巨大赤芽球生貧血の場合、葉酸を過剰摂取することで改善することがありますが、疾患本来の原因診断(ビタミン12が欠乏)が遅れることがあります。
副作用が起きないためにも摂取量は守るようにして下さい。

助産師ポイント
食品に含まれる葉酸は、吸収が半分ほどになるため過剰摂取することは現実的にはほとんどないですが、葉酸サプリは一粒400μgの葉酸が含まれているため3粒摂ると過剰摂取になってしまいます。
サプリの規定量はしっかり守り、過剰摂取にならによう注意が必要です。
5.まとめ
婚活や妊活中に葉酸を摂ることで、元気な赤ちゃんを迎えるための準備ができます。
また、全ての女性にとっても貧血改善などの効果もあります。
食事で摂るには調理法などの工夫が必要なので、簡単にいつでも食べられる新鮮な果物がお勧めです。さらに、自分に合う葉酸サプリも探してみてくださいね。
今、お腹が大きくなった出産を控えた妊婦さんも、近い将来2人目を考えることになるかも知れませんね。そのときに向けて、葉酸がある生活を今から始めてみることをお勧めします。
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